外壁面を自由にデザイン可能で大きなスラブの跳ね出しも容易な木造新構法、三菱地所ホーム:新構法(2/2 ページ)
木造戸建て住宅の建築で、2×4工法(枠組壁工法)や在来工法(木造軸組工法)は、技術が一般的に公開されているオープン工法であるため、多くの施工会社で使用されてきた。しかし、両工法は、構造材やクギのサイズ、使用方法、使用箇所などが国の告示で厳しく決められているため、デザインへの多様なニーズに応えるのが難しかった。そこで、三菱地所ホームズは、外壁面を自由にデザインでき、大きなスラブの跳ね出しなどが可能な新構法を開発した。
2方向キャンチスラブは最大2.8×2.3メートル
スラブは、厚さ150〜210ミリの高耐力集成材厚板パネルをガーダーに掛け渡して構築する。ガーダーは、H形鋼で、スラブを上から支持する逆梁(ぎゃくはり)形式で設置し、構造床と開口部を支持。
H形鋼は二重床の下に収まり室内の意匠性を損なわない。ガーダーとスラブは積層方面を接合し水平構面を作成する。構造床をガーダーが支えるため、大きなスラブの跳ね出し(キャンチ)が可能。最大キャンチスラブは最大3.1メートルで、2方向キャンチスラブは最大2.8×2.3メートル。三菱地所ホームでは、2方向キャンチスラブ最大2.8×2.3メートルを構築することは、FMT構法以外の木造構法では困難だとしている。
三菱地所ホーム 月田氏は、「FMT構法では、ガーダーを収納するため2重床を採用している。2重床は、三菱地所ホームが販売している全館空調システム“エアロテック”を導入しやすい。集成材厚板パネルと置き床との隙間を有効活用し、下がり天井がほぼ出ない床チャンバー方式で、エアロテックを組み込めるため、複雑なダクトの取り回しが不要だ」と強調した。
FMT構法を用いた木造注文住宅を提供するブランドROBRAは、コンセプトが「木造を、アートにする」で、設計は、三菱地所ホームに在籍する設計士の中から選出された経験豊富な人材が集まるオーダーグラン設計室が行う。初年度の販売目標は5件を掲げている。
三菱地所ホームは、記者発表会終了後、会場を移し、東京都世田谷区にあるROBRAのモデルハウス「駒沢ステージ1 ホームギャラリー」で内覧会を開催した。駒沢ステージ1 ホームギャラリーは、木造地上3階建てで、延べ床面積は272.65平方メートル。所在地は東京都世田谷区深沢4-6。アクセスは、東急田園都市線「駒沢大学駅」から徒歩約20分。
駒沢ステージ1 ホームギャラリーは、「職住融合」をテーマに、ワーキングスペースとプライベート空間を備えている。建物の各階に作業エリアがある他、1階には応接間を設置し、2階にはキッチンを配置している。3階には浴室や寝室を設けている。それぞれのフロアが木材の天井や間仕切りが少ない空間を構築している。
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