GRBシステムを用いたインプラント工法による地すべり抑止杭を初完工:新工法
技研製作所グループ企業の技研施工は、九州新幹線彼杵川橋りょう工事において、不安定な地盤を乱さず、仮設レスで施工するGRBシステムインプラント工法による地すべり抑止杭工事を初めて完了した。
技研製作所グループ企業の技研施工は、九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)沿線の長崎県東彼杵(ひがしそのぎ)町の九州新幹線彼杵川橋りょう工事において、インプラント工法による地すべり抑止杭工事を初めて完了した。
現場では、主流の大口径ボーリングマシンで掘削した穴に既成の鋼管杭を埋め込む埋込み杭工法とインプラント工法を比較検討した。結果、不安定な地盤を乱さず、仮設レスで杭上で作業を完結するため、工費、工期ともに縮減できるGRBシステムによるインプラント工法を採用した。圧入した杭上にワンタッチで取り付けられる足場「GRBプラットフォーム」も初導入した。
現場一帯は国の地すべり防止区域に指定され、地すべり面が確認されていた。地すべりは、地下水の影響と重力によって土塊が移動して発生する。
本工事は、地下水を通しながら土塊の移動を抑えるため、杭間に間隔をとる飛び杭施工とし、「スキップロックアタッチメント」で効率化、硬質地盤対応の鋼管杭回転切削圧入機「ジャイロパイラー」を使ったGRBシステムで施工した。計498メートルの区間に、長さ31.5〜37メートルの鋼管杭を、2列3メートルピッチの千鳥配置で計172本を圧入した。
同社は、杭材搬送路などを確保するための整地により地盤を乱すリスクを回避するため、GRBプラットフォームを開発した。また、圧入機とパワーユニット移動装置、クレーン、杭搬送装置などが足場上を移動し、杭上で作業を完結する仮設レス施工を実現した。本足場により後工程の作業効率が上がるため、今後もさまざまな現場での活用が期待される。
同社は、GRBシステムを用いたインプラント工法による地すべり抑止杭工事の実績ができたことで、土砂災害の事前防災ニーズを見据え、工事提案を強化していく構えだ。
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