清水建設、コンクリート品質管理システム「Concrete Station」開発:業界動向
清水建設は、コンクリート品質に関するリスクを着工前に抽出、対策立案し施工管理業務を支援する品質総合管理システム「Concrete Station」を開発、若手土木技術者でもコンクリート打設の計画的な施工管理を可能とする。
清水建設は、土木工事のコンクリート品質に関するあらゆるリスクを着工前に抽出し、具体的な対策の立案から打設管理に至る一連の施工管理業務を支援するコンクリート品質総合管理システム「Concrete Station」を開発した。
コンクリートの施工管理は工程が多岐にわたり、高度な技術力が要求される。そのため多くのマニュアルが整備されているが、若手土木技術者がそれら全てを扱うのは容易ではない。同社はこうしたマニュアルやさまざまな品質管理基準に基づき本システムを開発し、リスクロードマップ作成、打設計画支援、チェックリスト作成などの機能を備えた。
本システムにより、経験の浅い若手土木技術者でもシステムが提示するロードマップに従いリスク対応をしていけば、コンクリート打設の施工管理を計画的に実施できる。
初めに、鉄筋の最小間隔、最大鋼材量、配合、施工手順など工事の基本情報を、工事規模により数時間程度で入力する。入力後、リスクロードマップ作成機能により、計画段階のマスコンクリートの温度ひび割れ、高密度配筋での充填不良、施工段階の型枠内の異物混入、コールドジョイントの発生、寒中施工における初期凍害などのリスクを抽出する。その上で、事前検討の着手期日や各種解析の実施期日、具体的な対策の立案期日などを示すリスクロードマップを計画段階、施工段階に分けて作成する。
続いて、打設計画支援機能により、抽出したリスクに対して現場の施工条件に応じた具体策を提案し、最終的に個々のリスクに対応したチェックリストを作成する。
同社は今後、検討・実践した対策をデータベースに蓄積し、同種の工事や類似した施工条件の現場へ応用する。また、活用を促進し、本システムによる検討や対策、施工結果の評価・分析結果をAI(人工知能)に学習させ、将来的にはAIシステムの構築を目指す。
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