コンクリート工事の現場管理を省力化、西松建設が業務支援システム:現場管理
西松建設は、コンクリート工事の施工管理業務支援システム「NCHyper」をハイパーエンジニアリングと共同開発した。工事データのクラウド上で一元管理、各書類への自動転記、電子印の活用により現場管理業務を省力化する。
西松建設は、コンクリート工事の施工管理業務支援システム「NCHyper(エヌ・シー・ハイパー)」をハイパーエンジニアリングと共同開発した。
これまで、コンクリート工事では、品質管理記録の整理、書類作成、承認・押印行為のための回覧に多くの時間を費やしていた。本システムは、施工管理の各種書類間で重複するデータをクラウド上で一元管理し、各書類へ自動転記することで書類作成時間を短縮する。また、電子印を活用により施主や工事監理者による確認作業を効率化し、現場管理業務を省力化する。
具体的には、生コン受け入れの際に現場で行う品質検査時に、試験業者による試験結果を品質管理書類に転記する必要がなくなり、試験業者が写真撮影用タブレット端末に入力するだけで、試験結果を一元管理、共有できる。受入検査の記録写真と圧縮強度試験結果の入力値は、コンクリート試験結果集計表、コンクリート試験検査結果報告書、写真帳票など指定した書類に自動転記される。
タブレット端末に、クラウド上の施工計画書類のデータから当日打設するコンクリートの配合情報や検査の実測許容値などを反映した情報を表示させ、誤発注などの人為的ミスを未然に防ぎ、データを基に自動的に試験結果の合否を判定する。
さらに、施主や工事監理者の承認が必要な工事書類は、事前に定めた担当者だけが電子押印できるシステムとなっており、担当者が情報登録・押印後、次の上位確認者へ承認願いの通知メールを送信する。書類の回覧がなくなり、承認・押印作業が円滑になる。
同社の検証では、NCHyperはコンクリート打設計画書作成から完了報告書作成までの作業時間を250分から60分に短縮し、労働時間の削減に成功した。
2019年度に2現場での実証試験を終え、2020年度は導入現場数を拡大する。今後もコンクリート工事における省力化、生産性向上に役立てられる予定だ。
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