伊豆急行線のトンネル検査に鉄道版インフラドクターを導入、検査日数を3日に短縮:導入事例(1/2 ページ)
東急ら4社は、伊豆急行線のトンネル検査に、鉄道保守管理システム「鉄道版インフラドクター」を導入し、省力化や検査期間の短縮を実現した。
東急、伊豆急行、首都高速道路、首都高技術の4社は、保守点検や管理作業の精度向上と効率化を目的に、2020年6月中旬から進めている伊豆急行線のトンネル検査に、鉄道保守管理システム「鉄道版インフラドクター」を導入した。鉄道版インフラドクターの実用化第1弾となる今回は、伊豆急行線の全トンネル31カ所、延長約17キロを検査した。
GISプラットフォーム上で構造物の性質などを検索
鉄道版インフラドクターは、レーザースキャナーと、高解像度カメラを装着した移動計測車両「MMS:モービルマッピングシステム」を鉄道線路上の鉄道台車に搭載し、モーターカーでけん引して、3次元点群データや画像データを取得する。
レーザースキャナーで得られる3次元点群データと、高解像度カメラで取得した画像データをGIS(地理情報システム)に連携させることで、損傷部位の早期発見をはじめ、構造物の2次元CAD図面や3次元モデルの生成、構造図面や各種点検/補修データの一元管理が行える。
GISプラットフォーム上にあるデータベースから、各種構造物の性質や点検/補修履歴など、維持管理に必要な情報を地図上やキーワード検索で調べられるため、これまで資料収集に掛かっていた時間が大幅に削減される。システム上で構造物を再現して、寸法計測などの現地調査や建築限界の確認が進められる利点も、作業時間の短縮につながる。
3次元点群データは、トンネル構造物のコンクリートの浮きや剥離などの変状を抽出するのに用い、構造物の異常を定量的に把握して、詳細な点検が必要な箇所をスクリーニングする。
構造物の輪郭線についても、3次元点群データから生成されるため、任意の断面で2次元CAD図面と3次元モデルを生成することも可能だ。図面の存在しない構造物のデータ作成に使える他、高度な解析技術と組み合わせることで、的確かつ効率的な構造物の劣化診断や予測にもつなげられる。
さらに、実車と同じ動きをする施工機械の3次元モデルをシステム上に配置すれば、施工シミュレーションが行えるため、現場作業での安全確保や手戻りの最小化にも貢献する。
2018年9月に伊豆急行線全線で、2019年1月には東急田園都市線で実施した鉄道版インフラドクターの実証実験では、計測車両を鉄道台車に積載して、レーザーや高解像度カメラによるデータ取得方法の検証を行った。結果、鉄道構造物でも、詳細なデータ取得と正確な解析が認められたため、今回の伊豆急行線での実用化に至った。
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