OKIが立入禁止エリアへの侵入を防ぐ新システムを開発、可搬型で設置場所の変更も容易:製品動向
OKIは、建設現場で発生するさまざまな事故を踏まえ、作業員の立入禁止エリアへの入場を防ぐ可搬型エリア侵入監視システム「Motion Alert」を開発した。
沖電気工業(OKI)は2020年5月27日、独自のモーションマッピングシステムとAIエッジコンピュータ「AE2100」を組み合わせた可搬型エリア侵入監視システム「Motion Alert」を発売した。同社は2023年までに売上10億円を目指す。
センサーで目視が困難でも検知
厚生労働省が公表した「平成30年度労働災害発生状況」によれば、建設業は他業種と比較して重大な事故が多く、作業現場の安全性向上が大きな課題となっている。墜落・転落事故や建設機械とクレーンとの接触事故、倒壊・崩壊事故が全体の約70%を占めており、対策が業界で求められている。
OKIは現場の多様な事故を減らすため、工事の進捗に応じ、頻繁に変化する工事現場の危険な立入禁止エリアをAIでリアルタイムに監視し、作業員の安全を守るソリューションとしてMotion Alertを開発した。
Motion Alertは、監視、制御、通知機能を有すセンサー装置と、ランプやブザーなどの通知機能を持つ警報装置で構成されている。センサー装置は、OKI独自の3D LiDAR(レーザー距離センサー)と4つのカメラを備えたモーションマッピングシステムやAE2100から成る。
カメラだけでは判別できない物体を検知・画像処理できるため、工事現場のような人と物が頻繁に動く場所や目視が困難な状況でも、立入禁止エリアへの侵入を検知し、入場を防げる。加えて、作業員が装着したヘルメット色の判定により、侵入許可者を識別する。さらに、搭載されたカメラやセンサーで取得した侵入者の数や画像を管理者が分析することで、現場への指導に役立てられる。
また、工事の進捗に合わせて生じる建設機械の移動や吊(つ)り荷の運搬、作業員の動線変更といった状況の変化に従って設置位置を変えられる。
現場に配置する際には、各センサーの位置合わせ(キャリブレーション)作業が不要な上、警報装置とセンサー装置との通信にOKIの920MHz帯マルチホップ無線「SmartHop」を採用しているため、長距離伝送にも対応している。LTEや5G、Wi-Fiなどの各種無線ネットワークを介して、遠隔地から作業現場を効率的に監視することも容易だ。
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