建機周囲の人を検知し、走行時に稼働を停止する新システムをコマツが実装:製品動向
国土交通省 関東地方整備局が発表した資料によれば、管内で2016年から2018年までで、建機の稼働に関連した人身事故が12件発生しており、事故件数は近年増加傾向を示している。建機の人身事故が増えていることを受け、小松製作所は、建機の走行時、周囲に人がいた場合、建機の駆動を自動制御する新システムを開発した。
小松製作所はこのほど、自社開発した「KomVision人検知衝突軽減システム」を業界で初めて油圧ショベルに標準装備し国内市場への提供を開始した。
KomVisionを搭載した従来型建機にも新システムは搭載可能
新システムは、従来から標準装備されている機械周囲カメラシステム「KomVision」に、機体の周囲にいる人をシステムで検知し、走行または旋回起動時に人を感知した場合には、機体の駆動を制御する新たな機能を付与した。また、低速走行中に人を認識した際にも、同様に機体の動きを停止させる。両機能で、走行起動時や低速走行時、旋回起動時に機体と人との衝突事故の発生を抑える。
KomVisionは、4台の単眼カメラを用いて撮影した機体周囲の映像を搭乗部にあるモニター上に表示。建機のオペレーターは、映す内容を機体の右側や右前方、左側、後方の画像に切り替えられる。検知エリアまたは停止制御エリアの2段階で人をセンシングすると、モニター上には、黄色い丸または赤い丸で知らせ、ブザーも鳴らるため、オペレーターに注意を促せる。
新システムの搭載機種は、2019年12月に発売した油圧ショベル「PC200-11」の他に、油圧ショベル「PC200」「PC210」「210LC-11」にも実装する。
今後は、12〜40トンクラスの日本国内で販売している油圧ショベルで、KomVisionを既に備えているモデルに新システムをレトロフィットするとともに、ユーザーのニーズも調査し、的確なサポートを行い、システムの精度向上を目指す。
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