建機と接触事故を防ぐ、フランス生まれの人とモノを見分けるステレオカメラ:メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2019(1/2 ページ)
建設機械との接触事故は、高所からの「墜落・転落」、「土砂崩落」と並び、建設業の3大災害に挙がるほど多発している。福井県に本社を置く、エウレカは、建設現場の安全性を向上させる視認支援装置を海外から持ち込み、販売代理店となって国内の市場に多数、提供している。
エウレカは、「メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2019」(会期:2019年7月24〜26日、東京ビッグサイト)内のi-Construction推進展2019で、国内の総輸入代理店となっている建設重機に搭載する安全補助システム「ブラクステール」を出品した。
障害物と人を区別し、作業者の近接を検知したときのみ警告
ブラクステールは、建機やフォークリフトと、歩行者または現場作業者の接触事故を防ぐ目的で開発された“インテリジェント・カメラ・システム”。耐久性に優れた広角ステレオカメラで、画像認識技術で人とモノを見分け、接触の危険がある場合にだけ、オペレーターに警告する。
従来からあるレーダーや超音波センサーを使った方法では、障害物と作業者を分けて認識することができなかったが、人間のパーツである五体を記録して学習を重ねることで、ヒトの判別が可能になった。
具体的な安全補助の動作は、カメラの検知範囲内に人が侵入すると、建機キャビン内の専用モニターに、赤色のアラートが表示されるとともに警告音が鳴る。一方で、障害物だけを検知すると、緑色の枠が表示され、注意喚起を促し、警告音は鳴らない。
システム構成は、ステレオカメラ、モニター、コントローラー、ハーネス、オプションで警告灯。メインのカメラは、仏ARCURE(アルキュール)が開発した粉じんや泥まみれなど、過酷な環境にも耐えるスペックで、検知技術はCEA-LIST(フランス原子力・代替エネルギー庁システム統合技術応用研究所)の特許技術を用いている。
カメラの検知範囲は、ホイールローダーやバックホウで視野角120度/幅4メートル/奥行き6メートルまでをカバーし、カメラごとに範囲設定できるため、さまざまな現場での要望に応えられる。
建機への装着は、自由に取り付けられ、メーカーを問わずあらゆる種類の車両に対応。暗い場所や雨天時でも動作し、特別なメンテナンスも必要としない。日本での発売から約4年間で、2000台が導入されたという。
他の機器との違いでは、RFIDなどの様に対象者全員に発信機を持たせる必要が無く、電波などで周辺機器にも干渉しない。設定エリア内に入ったヒトにのみ反応するため、本当に危険性のある時だけ、効果を発揮する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.