ドローンレーザー測量の効果的な活用方法や他の測量方法との違いとは?:ドローン(2/2 ページ)
テラドローンは、講習会などを開き、山間部の測量で役立つドローン搭載レーザーシステム「Terra Lidar」の普及を促進している。
法面の吹付工の測量を半日で完了
Terra Lidarの活用事例として、北海道や大分県の現場での使用例を解説した。北海道のケースは、防災の一環として道や法面を整備する法面の吹付工の事前調査で、ドローンレーザー測量を行った。計測面積は100×100メートルで、着工時の数量計算や出来形管理、CIMモデルの作成で必要な現況情報を取得。得られたデータを基に、等高線や縦断図、横断図、CIMモデルを作り上げた。
現場では、従来、地上からの目視や法面に作業者が4人ぶら下がり、2〜3週間かけて概算数量算定などを行っていた。しかし、人に代わる地上レーザースキャナーやドローンの写真測量では、法面には足場が無く死角が生じやすいため、正確な測定が困難だった。
今回、ドローンレーザー測量を導入したことで、現場は3人体制で済み、地形測量も半日で完了し、安全性向上と工期短縮を実現した。加えて、設計時に概算87メートルとされていた延長幅が94メートルであることが判明し、事前に設計を変更することが可能になり、手戻りが無くなり、施工の質が高まった。これまでと比較して、作成したCIMモデルや断面情報に基づく法粋における厚み管理の精密性も上がったという。
また、大分県の例では、太陽光発電所開発用地で、造成前の地形測量にドローンレーザーを用いた。測定面積は800×500メートルで、主に施主が保有する用地の境界線を調べた。
施主が太陽光発電所開発用の用地を保有した時、詳細な図面が無く、自身が有する保有地と地元の地権者が持つ土地の境が不明だった。境界の確定と、ソーラーパネルの配置や造成計画の策定の基礎となる情報取得を目指し、ドローンレーザーで山2つを計測した。実測期間は2日間で、その後の解析には2週間を要し、精微な3次元地形データを制作して、等高線やソーラーパネルのレイアウトの下敷きに用い、造成費用の削減や高効率な発電量のソーラーパネルの配置を支援した。
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