2020年5月の主要建設資材需給・価格動向はほぼ横ばい、国交省調査:産業動向
国土交通省が2020年5月に行った「主要建設資材需給・価格動向調査(建設資材モニター調査)」の結果によれば、土木工事で使用される主要建設資材の需給動向は、新型コロナウイルスの影響は薄く、2020年4月並みとなった。全国の価格動向では、石油(経由)のみ「やや下落」、その他資材は「横ばい」となり、在庫状況は「普通」を示した。
国土交通省はこのほど、2020年5月1〜5日に行った「主要建設資材需給・価格動向調査(建設資材モニター調査)」の結果を発表した。
価格動向は石油のみ“やや下落”
全国における建設資材の動向では、2020年4月に比べて、価格は石油(軽油)のみ「やや下落」、その他資材は「横ばい」となった。需給動向は、全資材が「均衡」で、在庫状況は全資材が「普通」。被災3県(岩手県、宮城県、福島県)における建設資材の動向も全国と同様だった。
全国的に価格が微減した石油は、地域別では、大阪府や奈良県、鹿児島県、千葉県、滋賀県が特に値段が低下した。一方、山梨県や静岡県、愛知県、鳥取県、宮崎県では価格が僅かに上昇。石油の需給は大阪府と秋田県が他と比べて減少した。
建設資材別に、2020年4月と比較して価格の減少幅が大きかった県は、セメント(バラ物)は鹿児島県、生コンクリートは佐賀県、骨材(砂)は大分県、骨材(砂利)は福岡県と大阪府、骨材(砕石)は奈良県、骨材(再生砕石)は奈良県と宮崎県、アスファルト合材(新材・密粒度アスコン)は鹿児島県、アスファルト合材(再生材・密粒度アスコン)は青森県や栃木県、滋賀県、佐賀県、大分県。
異形棒鋼は富山県、H形鋼は熊本県と滋賀県、木材(製材)は鹿児島県、木材 (型枠用合板)は鹿児島県となった。全体的に、近畿や九州エリアで建設資材の価格が少し低下した。
同調査がメインターゲットとする主に土木工事で使用される主要建設資材では、新型コロナウイルスの影響による需給動向の変化は、確認されなかった。
主要建設資材需給・価格動向調査は、主要建設資材の需給や価格、在庫の変動状況を資材別・地域別に毎月把握することで、建設資材の需給と価格の安定化対策を図る基礎資料の作成を目的としている。
対象地域は、北海道、東北、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州、沖縄の10地域で、東日本大震災の影響を調べるため、被災3県でも別途集計の対象エリアとしている。
調査方法は、建設資材の供給側(生産者、商社、問屋、販売店、特約店)と需要側(建設業者)から約2000社のモニターを選定し、聞き取っている。
対象の建設資材は、セメント(普通ポルトランド・バラ物)や建築用生コンクリート(21N/平方メートル、18センチ、25ミリ)、骨材(砂、砂利、砕石、再生砕石)、アスファルト合材(密粒度アスコン13の新材と再生材)、鋼材(異形棒鋼のD16とH形鋼)、木材(3.0×0.5×0.5メートルの製材と12.0×900×1800ミリの型枠用合板・輸入品)、石油(軽油1、2号)。
各調査対象資材の動向は、いずれも現況と3カ月先を見越したもので、価格動向は、「下落」「やや下落」「横ばい」「やや上昇」「上昇」で評価し、需給動向は「緩和」「やや緩和」「均衡」「やや逼迫(ひっぱく)」「逼迫」。現在の在庫状況は「豊富」「普通」「やや品不足」「品不足」の4段階で表している。
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