DJIがプラントや送電線の点検に役立つ機能を搭載したドローンとハイブリッドカメラを発売:ドローン(2/2 ページ)
DJI JAPANは、55分間の飛行能力を備えた産業用ドローン「Matrice 300 RTK」と、ハイブリッドカメラ「Zenmuse H20シリーズ」の販売を開始した。
送電線や鉄道、石油とガスプラントの点検に役立つ「スマート点検機能」
Zenmuse H20シリーズは、「H20」と「H20T」の2バージョンをラインアップしている。H20は、20メガピクセルのハイブリッド光学23倍ズームカメラや12メガピクセルのP広角カメラ、3〜1200メートルの距離をカバーするレーザー距離計を搭載している。
H20Tは、H20が備えたカメラに加え、640x512ピクセルの放射分析サーマルカメラを実装している。高い熱感度と30fpsの動画解像度で、操縦者は人の目では捉えられないものを見られる。
操縦者が1度に複数のカメラを操れるように、専用アプリのユーザーインタフェース(UI)は、数回タップするだけでカメラを切り替えられる。広角カメラまたはサーマルカメラの映像上で「ズーム視野(FOV)モード」を選択すれば、ズームインとズームアウト処理を簡単に行える。
Matrice 300 RTKとZenmuse H20シリーズは併用することで、情報収集に役立つ「スマート点検」と「スマートピン&トラック」という機能を使える。
スマート点検は、送電線や鉄道、石油とガスプラントの点検といった定期的なデータ収集に貢献する。「ライブミッション記録」「AIスポット確認」「Waypoint 2.0」といった機能で構成されている。中村氏は、「ライブミッション記録は、1度のマニュアル飛行後、走行ルートやカメラの角度などを記録し、次回は自動で同じ飛行計画を行える」と説明した。
AIスポット確認は、毎回正確に同じ位置からデータを集められる機能で、自動飛行計画の際に、操縦者が指定したポイントの撮影を後押しする。加えて、デモ飛行中に撮影したウェイポイント(通過点)点検の写真を記録後、操縦者や点検者が、特定の対象物にマークを付けられる。
マークを付けることで、自動飛行の計画に、AIのアルゴリズムがマークされた被写体と現在のライブビューを比較し、カメラの方向を補正して、正確なデータの取得が行える。Waypoint 2.0は、最大6万5535個の通過点を設定できる飛行計画システムで、複数の飛行計画作成やDJI製以外のカメラのコントロールにも対応している。
スマートピン&トラックは、飛行中に得られた空中情報を同期し、「ピンポイント」と「スマートトラック」の2機能。
ピンポイントは、ターゲットとなる対象物にマークをつけ、正確な位置データをもう1人の操縦者に共有したり、必要に応じて、管理システム「DJI FlightHub」経由で地上チームに情報共有が行える。スマートトラックは、離れた距離からでも動く対象物を自動で検出し、追跡しながら対象物の動的な位置をリアルタイムに同期する。
バッテリーと充電器は含まないMatrice 300 RTKの機体本体参考価格は約95万円で、Zenmuse H20シリーズの参考価格は約45万円(いずれも税別)。
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