日本工営がインドの大型建設プロジェクトを3件受注:プロジェクト
日本工営は、インドのチェンナイで、課題になっている交通渋滞の慢性化を解消する大型建設プロジェクトに着手した。
2020年1月8日、日本工営がインドのチェンナイにおいて、地下鉄の整備など交通運輸に関連するプロジェクトを受注したことが明らかになった。受注したプロジェクトは「チェンナイ周辺環状道路建設事業(フェーズ1)」「チェンナイメトロ建設事業(フェーズ2)」「チェンナイ都市圏高度道路交通システム整備事業」の3件。
チェンナイは、南インドの東部、ベンガル湾に面するタミル・ナド州の州都であり、インド第4位の人口(約1070万人)を有する南インド最大の都市圏で、世界でもトップクラスの人口過密都市。近年、急速な人口増加と経済発展に伴う交通量の増加が、交通渋滞の慢性化を招き、人々の生活や企業活動にとって障害になっている。日本工営は今回受注した3件のプロジェクトで、増え続ける交通量を踏まえつつ、安全性やエネルギー効率、社会環境保全を視野に入れ、輸送需要への対応と公共交通システムの整備を進めている。
港へのアクセス道路を建設
チェンナイ周辺環状道路建設事業(フェーズ1)は、発注者がタミル・ナド州高速道路・港湾局で、サービス概要は、設計の詳細なレビューやITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)の基本設計、入札支援、施工監理で構成される。サービス期間は2020年1月〜2026年12月を予定しており、契約額は、日本工営が約2億円で、子会社のNippon Koei Indiaが約4億円。
同事業では、チェンナイ周辺環状道路(約133キロ)のうち、北部のエンノール港に続くアクセス道路となる区間(約25キロ)の建設や料金収受と交通管制のシステムを導入する。アクセス道路は、日本とインド両国が推進する「チェンナイ・ベンガルール間産業回廊構想」で優先事業にも位置付けられている。
日本工営初となるインドの地下鉄建設事業
チェンナイメトロ建設事業(フェーズ2)は、発注者がチェンナイメトロで、サービス概要は、設計の詳細なレビューやシステム関係の基本設計、入札支援、施工監理から成る。サービス期間は2020年1月〜2029年12月を見込み、契約額は、日本工営が約22億円、Nippon Koei Indiaが約32億円(人件費報酬額)。チェンナイメトロの開業は2027年6月になる見通しだ。
同事業では、チェンナイメトロ建設事業(フェーズ1)で施工している鉄道路線の外環部をカバーする形で、計画された3号線、4号線、5号線(総延長約107.5キロ)のうち、需要が高く整備の緊急性が高い3号線(マドハヴァラムミルクコロニー駅〜ショリンガナルール駅間)と、5号線(マドハヴァラムミルクコロニー駅〜チェンナイ・モフシル・バス・テルミヌス駅間)の一部である57駅・約52キロの工事を扱う。日本工営グループにおいて、インドで初となる地下鉄建設事業。また、インドにおけるメトロ事業で初めて主な調達先を日本と相手国企業に限定する制度「2国間タイド制度」を適用しており、日本の技術や製品の導入が期待されている。
交通情報の見える化も実施
チェンナイ都市圏高度道路交通システム整備事業は、発注者がチェンナイスマートシティーで、サービス概要は基本設計や入札支援、施工監理で構成されている。サービス期間は、2020年1月〜2029年3月で、契約額は、日本工営が約4億円で、Nippon Koei Indiaが約6億円。
同事業は、道路インフラを開発する余地が限られているチェンナイ都市圏中心部において、高度道路交通システムを導入し、道路の効率的な利用を促して、交通混雑の緩和を図る。また、交通情報の見える化や信号制御による交通流の改善、バス運行の効率化、利便性向上を図るためのシステム整備やシステムの運営維持管理などに関する技術移転も行われる予定だ。
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