工事写真の位置情報を自動取得、施工管理の手間を43%短縮:情報化施工
建設現場において重要な作業である工事記録の管理。竹中工務店はこうした管理を効率化するシステムを開発した。近距離無線技術を活用して工事写真の位置情報を自動で取得し、現場内でリアルタイムに共有することができる。従来のデジタルカメラと紙図面を用いて行う方法と比較して、作業を43%削減できたという。
竹中工務店は、建設現場での携帯端末で撮影した工事写真を、デジタル図面上に自動的にプロットして一括管理するシステム「位置プラス写(しゃ)」(特許出願済)を開発したと発表した。施工管理の主たる業務である品質・安全管理の効率化を目的に、同システムを建設現場へ導入した結果、作業指示にかかる時間を、従来のデジタルカメラと紙図面を用いて行う方法と比べて43%削減、携帯端末で市販の野帳アプリを利用する方法と比べて33%削減できたという。
建設工事では、品質・安全管理を目的として数多くの工事写真を撮影し工事記録の整備や協力会社への作業指示などを行う。例えば、管理項目の多い大規模病院の新築工事では、工事写真の枚数は数万枚にも達する。膨大な工事写真について、その撮影場所が分かるよう整理する作業に従来の方法では多くの手間がかかっていた。
同システムは、近距離無線通信技術「iBeacon」を用いた発信機を建設現場内に配置することで、工事写真の撮影位置を自動的に把握する。従来は工事写真の撮影位置を記録するために、図面上に手作業で位置をプロットしたり、階名や部屋名などを追記したりしていた。同システムでは、位置認識の自動化によりこれらの手間を削減する。
同システムで撮影された工事写真は撮影位置、撮影日時、撮影者名、撮影時に入力されたコメントなどの情報と合わせてサーバー上に保存される。サーバー上のデータを現場内でリアルタイムに共有することで、協力会社への作業指示をはじめ様々な施工管理業務に活用できる。さらに建設IoTの展開とともに将来的に収集されるデータと組み合わせて活用していくことも可能としている。
システムの特徴を詳しく見ると、工事写真の撮影位置をデジタル図面上へ自動的にプロットプロット間違いを防止し、工事写真のエビデンス性を向上させる。工事写真と図面を1枚の画像に結合し、画像データを自動作成。写真と図面を用いた分かりやすい指示書を簡単に作成できる。
また、iBeaconによる位置認識を補正する機能を搭載した。撮影の方角を自動的に把握し図面上に表現し、表示位置を画面上で微修正できる。作業指示や工事記録を支援する。写真にデジタル上で書き込みを行ない作業指示とすることが可能で、従来は工事黒板に書き込んでいた施工日時、場所、状況等の情報を写真上に合成表示できる。
さらに、全工事写真をサーバー上で一括管理し、情報共有を支援。他のメンバーが撮影した写真も含め、全ての工事写真を本システムの図面上でいつでもどこでも確認可能することが可能だ。図面上に表示する工事写真は日付、撮影者、黒板のテキスト検索によって絞り込むことができる。
なお「位置プラス写(しゃ)」は、昨年開発した「作業所内の高所作業車や作業所員の位置を把握するシステム」(現在のシステム名は「位置プラス探(たん)」)と同じプラットフォームで開発した。今回の開発により、作業所にiBeaconを配置することで、「位置プラス探(たん)」による高所作業車や作業所員の位置把握に加えて、工事写真管理も行えるようになった。
今後は位置プラスシリーズに様々な機能を拡充していくことで、建設IoTを全社的に推進し、建設現場の更なる高効率化を目指す。
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