清水建設が重機接触低減で「Safety2.0」を取得、トンネル掘削の安全性確保:現場管理
清水建設は、トンネル工事の現場で導入する「重機接触災害リスク低減システム」で、技術認証「Safety2.0 適合基準レベルI」を取得した。ICT技術などにより人・機械(重機)・環境に関する情報を共有する。
清水建設は、熊本県で施工中の「熊本57号滝室坂トンネル西新設(一期)工事」で導入する「重機接触災害リスク低減システム」において、技術認証「Safety2.0 適合基準レベルI」を2020年3月2日に取得したことを明らかにした。セーフティグローバル推進機構(IGSAP)が発行する同技術認証は、ICT技術などにより人・機械(重機)・環境に関する情報を共有することで、安全を確保する技術的方策に与えられるものだ。
重機接触災害リスク低減システムは、人と機械が接触する可能性が生じるとリスク情報として認識し、警告照明機器からの高照度の光と音の発報により周囲へ発信するシステムだ。リスク情報を察知した作業員は、発報が続く間作業を中止しリスクを回避することができる。ずり出しと呼ばれる切羽付近で行う掘削した土砂の搬出作業が同システムの対象となる。作業者と重機の位置情報管理、警告照明機器制御、重機周囲監視を行う各システムを連携させることにより、リスク低減を図るという。
Safety2.0適合基準レベルIの取得には、ヒト・モノ・環境などの各構成要素をICTでつないでいる、リスク関連情報をモニタリングし発信している、リスク管理情報を受けたら自律的、あるいは他律的な制御によりリスクを低減している、という3つのカテゴリーがある。
清水建設では現在、ロボット技術や建設機械・重機の自動運転技術、人(作業員)・モノ(建機・重機)・作業環境に関する情報を共有するICT技術の融合により、トンネル施工の生産性と安全性を飛躍的に向上させる「シミズ・スマート・トンネル」の構築を進めている。実現するには人と機械の協調安全が必要不可欠なことから、主要構成要素について「Safety2.0」の適合審査を受審することとし、その第一弾が重機接触災害リスク低減システムとなった。
同社は今後、シミズ・スマート・トンネルの構築に関連する技術開発にSafety2.0の概念を採り入れ、「人と機械の協調作業を支援する協調安全」を実現していく考えだ。
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