25tの車両が通過可能な鋳鉄製の「免震エキスパンションジョイント」:新建材
大成建設と日之出水道機器は共同で、25トンの車両を載せられる鋳鉄製免震エキスパンションジョイント「TH-SLIDER」を開発した。
大成建設と日之出水道機器は、重さ25トンの車両を上載でき、安全性や施工性にも優れた鋳鉄製免震エキスパンションジョイント「TH-SLIDER」を開発した。
従来比で生産コストを3〜5割削減
免震建物と地盤の隙間をつなぐ部材として広く利用されている免震エキスパンションジョイントは、建物廻りの段差レベルを解消する跳ね上げ式が一般的だが、大規模地震の発生時には、免震エキスパンションジョイントが可動する際の安全性や可動後に元の位置に戻らない残留変形が問題となっていた。
また、建物の床面を滑動する免震エキスパンションジョイントは、歩行者などの軽量な荷重に対応した製品は多数存在するが、総重量25トンの重車両などの上載荷重に対応した製品はほとんど無い。重車両の通行には、十分な耐力を確保するため、製品の厚みを増す必要があり、結果、建物床面との間に大きな段差が生じることから、使用時に支障を来す懸念があった。
そこで両社は、高い剛性と耐力を有し、安全性、施工性なども備えた新たな滑動式の鋳鉄製のTH-SLIDERを開発した。
TH-SLIDERは、地震時の跳ね上がりや地震後の残留変形の残らない滑動式を採用しているため、常に性能が維持される。地震時や重車両の通過時でも、部材本体に過度な変形や損傷が生じず、常に健全性を確保。さらに、中央の篏合接合部により、部材長の調整が可能で、免震建物とその周囲にある基礎構造物の間に設けられた隙間に対して柔軟に対応する。
安全面では、鋳鉄を使用して部材厚さを薄くすることで段差を抑え、通行しやすくなっており、車両や車椅子利用者などにも配慮している。部材の表面には、マンホール蓋などで採用されている日之出水道機器の独自技術・耐スリップデザインを適用し、スリップ防止機能も設けられている。
施工時には、建物床面端部に据え付けた凹部材に、板状部材端部の凸部をはめ込んで設置するだけの簡単な仕組みで、施工性の向上が図れる。生産コストでも、鋳型を用いて大量生産するため、従来の免震エキスパンションジョイントに比べ、生産コストを3〜5割程度削減することが実現する。
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