「空の産業革命」レベル4を目指す各社の取り組みとは?西日本豪雨でドローンレーザーが果たした役割:「産業×ドローンセミナー」(中)(1/3 ページ)
国が示す「空の産業革命のロードマップ」では、2019年度からはレベル3「無人地帯での目視外飛行」のフェーズに入った。民間企業でも最終のレベル4「有人地帯での目視外飛行」に対応した新たなサービスを展開すべく、機体開発や検証を進めている。
東京都主催の「産業×ドローンセミナー」が2019年7月2日、東京都庁第1庁舎大会議室で開催された。本稿は中編として、多様な分野でドローンを活用しているあきる野市や民間企業の講演など行われたセミナー中盤の模様をレポートする。
あきる野市の西側は、“DID外”でドローン活用に適する
あきる野市の発表では、企画政策部 企画政策課長・吉岡克治氏がドローン活用の経緯やこれまでの成果を解説した。
あきる野市の市域は横に長く、多摩川支流の平井川と秋川が市の中央部を挟むように東西に流れている。市内の6割が山林を占め、キャンプやハイキングが盛んな一方、川遊びの水難事故や土砂災害で孤立地域が発生する懸念もある。また、東側の一部はDID(人口集中地区)に入っているものの、西側の大半はDID外にあたり、申請せずにドローンが飛ばせる。
こうした背景を踏まえ、行政と市民が役割を分担して、防災に取り組んでいるが、山間部などで孤立地域が発生した場合の対応が課題としてあり、これをドローン活用で解消することを掲げている。
2016年3月には、DJI JAPANとスカイシーカー、市の3者で、「ドローンの安全かつ有効な活用促進に向けた合意書」を締結。ドローンの安全な飛行に資する研修および普及啓発や農林業など各種分野でのドローン活用の調査/研究で、相互に協力する合意書を交わした。以降、物資搬送の実証実験や市の総合防災訓練、野生動物の動態調査などを進めている。
市では独自にパイロット養成にも着手し、現在は約40人の市職員パイロットを登録するまでになった。しかし、地方公務員は定期的な異動がつきもののため、継続的な人材育成がこれからの目標だという。吉岡氏は、「まだドローン自体は目新しい技術のため、機体の維持やメンテナンス、保険といったドローン活用を持続させるための周辺整備も必要で、法的な枠組みも未整備にあることから、各種法令動向を常に把握しておかなかればならない」とした。
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