応用地質ら3社、土砂災害の危険性がある地域を抽出するAIモデルを開発:AI
応用地質、みずほ情報総研、インキュビットは、複数の地形的特徴から土砂災害の危険性がある地域を抽出するAIモデルを開発した。
2019年7月30日、応用地質、みずほ情報総研およびインキュビットは、複数の地形的特徴から土砂災害の危険性がある地域を抽出するAIモデルを開発したと発表した。広域エリアにおける詳細な地質リスクの把握とより緻密な警戒避難体制の構築が可能となり、防災・減災にかかわる自治体職員の負担軽減にも貢献することが期待される。
同モデルは複数の地形的特徴と技術者による地形判読結果を学習させることで、熟練した地質技術者が数日かけて解析していた潜在的な危険箇所を、短時間で抽出することができるというもの。抽出した危険箇所を技術者による判読結果と比較評価・検証を行ったところ、同モデルの実現可能性が非常に高いことが確認できた。
地球温暖化などの影響により日本各地において豪雨災害が激甚化しているが、限られた自治体の防災体制の中で住民の確実な避難を実現させていくためには、土砂災害危険地域のハザードマップの整備や潜在的な危険地域の把握、地盤変動に対する監視体制の強化などの対策が重要である。しかし、複雑な地形的特徴から土砂災害の危険地域を特定することは、多大な時間と労力、コストを必要とし、限られた財政と人的資源の中で、必要な防災体制の強化を実現に向けての課題であった。
こうしたなか応用地質は、みずほ情報総研による地形判読のサービス全体像の検討から、AIモデル開発の方針策定、開発後の評価・検証までの総合的な支援と、インキュビットのディープラーニング技術により、応用地質の地質技術者による地形判読データを用いて、同モデルを開発した。
今後応用地質では、引き続きみずほ情報総研、インキュビットのサポートの下、次世代の災害対策情報提供サービスや巨大地震を対象とした広域地質リスク評価サービス、ビジネス向け自然災害リスク情報レポートサービスなど、付加価値の高い防災・減災サービスのラインアップ拡充を図っていく方針だ。
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