空調換気機器の設備設計を容易にするアプリを開発、BIM連携も視野に:製品動向
三菱電機は、建設業界でBIMの利用が拡大していることを踏まえ、BIM連携も視野に入れた設備設計支援アプリケーションを開発した。
三菱電機は2020年3月16日、同社製空調換気機器を対象にしたPC専用アプリケーション「空調・換気機器設備設計支援アプリケーション」を4月から無料配布すると発表した。
配管長補正計算が不要に
空調・換気機器設備設計支援アプリケーションは、三菱電機製の空調換気機器を自動選定し、ドラッグアンドドロップなどの操作で、設備設計を進められる。
空調機器の選定では、建物における熱負荷と配管の長さを踏まえて、最適な機器を自動で選出するため、従来の人手による煩雑な配管長補正計算が不要となる。一方、換気機器の選定では、換気に必要な風量と静圧などを考慮し、適した機器が自動で選ばれ、これまでの人力による静圧風量曲線(P-Q 曲線)などに留意した比較検討が必要なくなる。
また、自治体などへの建築確認申請に必要な換気機器の静圧風量曲線(P-Q 曲線)を自動作成し、申請資料作成の手間を削減する。選定した機種の仕様データはExcel形式で出力でき、物件納入時の設備機器リストとして使える。
三菱電機が空調・換気機器設備設計支援アプリケーションを無料配布した要因には、建築業界で、人手不足解消のため、建築フロー全体の生産性向上が求められており、BIMといったITツールの活用が推進されていることがある。これまで三菱電機は、BIMに対応する同社製空調換気機器のBIMメーカーオブジェクトを提供してきた。今回は、設備設計の効率化を目的に、空調・換気機器設備設計支援アプリケーションを開発し、設計事務所や建設業、設備業向けにリリースした。
今後、三菱電機は、空調・換気機器設備設計支援アプリケーションをBIMソフトと連携させるとともに、展開予定の省エネ性や快適性の向上に貢献するBIM対応のアプリケーションと合わせて「MEL-BIM」シリーズとしてラインアップし、空調換気機器分野を中心に提供する。
さらに、2020年度内には、空調・換気機器設備設計支援アプリケーションで自動選定した三菱電機製の空調換気機器をダイテックの総合設備BIMソフト「CADWe'll Linx」上に自動配置し、BIM上での設計作業を円滑にする機能連携を実施する。
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