低コストでICT小規模施工を実現する5つの事例、GNSSアンテナの使いまわしや2Dマシンコントロールの活用など:第2回i-Construction施工セミナー(1/3 ページ)
日本キャタピラーは、業界で急務となっている生産性向上を実現する手段の1つとして、小規模の現場でICT活用を後押しするアップグレードソリューションや2Dマシンコントロールといったサービスやシステムの提案を進めている。
国土交通省関東地方整備局は2019年7月19日、埼玉県秩父市の日本キャタピラー秩父D-Techセンターで、「第2回i-Construction施工セミナー」を開催。今回は、小規模施工でICT建機を使用し生産性を高めることをテーマにした。
本稿では、当日の講演の内、日本キャタピラー 広域営業事業部 情報化施工推進部 テクノロジーソリューション課 ICTインストラクターの齊藤尚寛氏が行った「小規模施工に活用可能なi-Construction施工技術」を取り上げる。
ICT活用工事の発注件数は増加傾向だが、小規模が多くを占める
冒頭、齊藤氏は、2019年4月1日に施行された働き方改革関連法について説明した。建設業への規制適用は5年の猶予期間が設けられているが、長時間労働の是正や生産性向上は急務だという。
齊藤氏は、「建設業は現状から作業時間を2割短縮しないと、働き方改革関連法の基準をクリアできない。猶予期間である2019年4月1日からの5年間で、ICTを用いて、働き方改革に対応できるようにならなければならない」と強調した。
関東地方整備局と県・市のICT活用工事の発注件数と適用件数についても解説した。
「i-Constructionがスタートした2016年は発注件数が約300件だったが、2018年には約700件に伸長している。2018年の関東地方整備局と県・市の発注件数の内、適用件数は275件だった。発注件数に対して、適用件数の割合は下がり始めている。原因について、顧客に聞くと、規模が小さいと答える方が多かった」(齊藤氏)。
続けて、「関東地方整備局と県・市の2018年度ICT活用工事の発注土量は、大半が1万立方メートル以下で、ICTを使用するとコストに見合わない広さが多い。だが、1万立方メートル以下でもICTの効果はある。国土交通省の資料によれば、5000立方メートル以下の工事で、ICTを使用したものは、してないものと比べると、全体平均で、作業時間が4割減少している。施工規模だけでなく、起工測量が難しい河川やGNSSが受信できない山間部の工事、3D設計データの作成が面倒、そもそも利用方法が分からないといった問題がICTの利用を阻害している」と指摘した。
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