AIで最適な起動時刻を自動設定するビル用マルチエアコン:BAS
三菱電機は、AIにより最適な起動時刻を自動設定できるビル用マルチエアコンを2020年7月に発売する。AI技術を活用したビル用マルチエアコンは業界初という。
三菱電機は2020年2月27日、同社のAI技術「Maisart」を活用した空調冷熱総合管理システム「AE-200J」(Ver7.9)をビル用マルチエアコンの最上位モデル「グランマルチ」に接続したビル用マルチエアコンを7月中旬に発売すると発表した。同社によるとAI技術をビル用マルチエアコンに搭載するのは業界初の試みだという。
今回、AE-200Jに業界初の機能として導入されたのが「AIスマート起動」。これまでのビル用マルチエアコンは、起動時刻を手動で設定していたため、設定温度への到達時間にずれが発生し、省エネ性と快適性の両立に課題があった。
AIを導入することで、外気温、室温、設定温度、設定時刻、運転台数などの過去データから、設定温度に到達する時間を算出し、空調機ごとに最適な起動時刻を自動設定可能になった。空調設備管理者のスケジュール設定の手間も削減できる。
空調機器は起動時に最も多くの電力を消費するため、空調機器の設置環境ごとに最適な温度と起動時刻を自動設定できることは、職場環境の快適性だけでなく、最大需要電力の抑制にも大きく貢献する。
AE-200Jは、1台のコントローラーで空調冷熱設備全体の集中管理やエネルギー消費量の見える化が可能だが、拡張コントローラー「EW-50J」を3台併用すれば、最大200台まで室内ユニットを集中管理できる拡張性を持つ。
AE-200Jと接続して使用するグランマルチは、室外ユニットのファンモーター、アルミ扁平管熱交換器、高効率圧縮機を最適制御でき、外気吸込温度43度でも定格冷房能力を発揮できる(従来製品の外気吸込温度は35度)。クールタフネスモードの最大外気吸込温度は52度であり、温暖化やヒートアイランド現象が引き起こすビル周辺部外気温の異常な高温化にも対応できるだけの性能がある。
グランマルチのラインアップは豊富で、ZEB(快適な室内環境と消費エネルギーゼロを両立させる建築物)の実現を想定した高エネルギー消費効率の特別受注生産品や、デザインの異なる5種類の化粧パネルなども選べる。
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