高層階の住戸面積が約20%増加する免震タワー型マンション向け新構法:新構法
三井住友建設は、高層階の住戸面積を従来と比較して20%増加する免震タワー型マンション向けの新構法を開発した。
三井住友建設は2020年2月25日、優れた眺望と設計の自由度を有しながら、これまでと比較して高層階の住戸面積が増加する新構法「Sulatto V Tower」を開発したと発表した。
法規制にも柔軟に対応
高層階になるほど住戸面積を拡大させるSulatto V Towerは、三井住友建設独自の集合住宅設計システム「SuKKiT」の技術を応用し、発展させた構法で、地上120メートルクラスまでの免震タワー型マンションに向けて開発された。
特徴は、円形型の平面形状を生かし、高層階になるにつれ住戸面積を大きくする構造フレームを具現化。この構造フレームを導入することにより、高層階の住戸面積比率が従来比で約20%拡大することに成功した。
また、高層階であるほど、住戸のサイズが広くなるため、合理的に各階層の住戸規模設定が行え、高層階の面積が増えた分、低層階の面積をスリム化することで、建築基準法における日影規制や斜線制限などの形態に関する制約で効果的に働く。総合設計における公開空地の確保が容易な点といったメリットを活用し、建物全体の面積をより拡張する可能性もある。
新構法は、円形型の平面形状と中央部が有す構造フレームで、建物全体の構造バランスを取ることにより、住戸内を横断する梁型(はりがた)を無くし、建物外周の主採光面を扁平梁(へんぺいはり)とすることで、ハイサッシで明るく開放的な住戸空間や梁を全て無くした住戸割や住戸プラン、フロアごとのプラン切り替えなど、多様な設計に応じられる。
各住戸は開口面側に伸びる台形で、全ての居室に採光可能な窓を設けられ、開口幅は、約75平方メートルの一般的な住戸で試算し、矩形(くけい)住戸と比較して約40%広大なワイドサッシを設置できる。
今後、三井住友建設は、Sulatto V Towerが法規制にも柔軟に対応するため、首都圏をはじめ全国の超高層マンション開発案件を対象に積極的に展開を図っていく方針だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- KYBらの免震ダンパー不正で有識者委が報告書とりまとめ、発注者の出荷検査立ち会いなど原則化
免震・制振オイルダンパーの不正を受け、国土交通省が設置した有識者委は報告書を取りまとめた。発注者による出荷検査の立ち会い、検査データ確認を原則化するなどの対策を提言した。 - 中低層建築物に導入可能な“免震”と“制震”のハイブリッド構造、東京都市大・西村教授と東急建設が性能実証
東急建設は、東京都市大学・西村功教授と共同で、油圧ダンパー(制震)と積層ゴム支承(免震)を組み合わせたハイブリッド構造の実用化に向けた実証実験を行い、従来のパッシブ型制震構造を上回る性能を確認した。2020年を目標に実際の建物へ適用し、社会実装に向けた取組みを加速させる。 - 竹中工務店の設計・施工で海外初の免震建物、ブリヂストン社「高減衰免震ゴム」を51基設置
竹中工務店は、海外プロジェクトで設計・施工を手掛けた初の免震建物が完成した。建築物はブリヂストングループのインドネシア・カラワン工場の新事務所棟。 - 鋼矢板を連続して圧入する「拘束地盤免震」を採用した“技研製作所の新社屋”が完成
技研製作所は2019年2月25日、インプラント構造の連続壁による免震技術「拘束地盤免震」を用いた高知本社新館が完成したことを公表した。