長谷工総研の分譲マンション動向、五輪イヤーは首都圏で2019年相当に:市場動向(3/3 ページ)
長谷工総合研究所は、首都圏と近畿圏における分譲マンションの市場動向を予測し、2019年の市場総括と2020年の見通しを示した。
首都圏の新規供給戸数は3万2000戸を予測
新規供給戸数の先行指標となる分譲マンション着工戸数は、2019年1〜11月は首都圏が前年同期比10.3%増の5万5302戸で、近畿圏は同比5%減の2万2640戸。分譲マンションの着工戸数や各事業会社の供給予定戸数を考慮すると、2020年度も前年同様となる首都圏で4万戸、近畿圏で約2万戸の供給が行われる可能性が高い。
だが、長谷工総合研究所は、事業会社が前年と同じく慎重な姿勢を貫くと判断するとともに、首都圏において2019年12月の段階で分譲中戸数が9092戸に増加したこともあり、在庫販売に注力すると考え、2020年の新規供給戸数を首都圏が3万2000戸、近畿圏では1万8000戸になると予想した。
地域別供給戸数の予測では、首都圏市場は都心や郊外の地域で、大型物件の供給が予定されているが、大幅な供給拡大にはつながらず、2019年相当になるとした。地域別では、都内23区はほぼ横ばいの1万4000戸で、都下や神奈川県、千葉県が前年を超えるが、埼玉県は前年比約13%減の4000戸に縮小することを見込む。
近畿圏市場は、大阪市で超高層物件の供給がスケジューリングされているが、8500戸にとどまると推測した。しかし、阪神間と京都市、その他兵庫などで大規模物件の供給が決まっていることから、全体としては2019年以上になる可能性もある。
2020年の販売状況は、首都圏と近畿圏ともに、分譲単価と価格が高値安定となる可能性が高く、2019年並みになると推定した。
首都圏では、近年、不動産会社の販売手法が変化し、初月販売率にとらわれず、じっくり販売する傾向があり、2020年も都心地域の高額物件を核にして、長期的なスパンでじっくり売り込む。
近畿圏でも、大阪市内をコアにして、高額物件の供給に注力し、さらに、2025年開催の「関西万博」(会期:2025年4月13日〜10月13日)を意識して、分譲単価に先高観が生じる期待値もあるという。近畿圏でもグロス価格が一層上がるポテンシャルがあり、首都圏同様に初月販売率を気にせず、セールスを進め、2019年並みの販売状況になるとした。
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