戸田建設がトータルコスト削減につながる“耐震ブレース”を本格適用
戸田建設は、自社開発した高性能かつ経済的な耐震ブレース「戸田式座屈拘束ブレース(TO-BRB)」を愛知県で建設中の生産施設で初適用した。成田PC工場で製造体制を既に確立しており、本格的な現場への適用段階に移行したことになる。
戸田建設は、自社開発した高性能かつ経済的な耐震ブレース「戸田式座屈拘束ブレース(TO-BRB)」を愛知県で建設中の生産施設で初適用した。
設置箇所数の削減やブレース以外の構造部材断面も低減
戸田式座屈拘束ブレース(TO-BRB)は、圧縮と引張の両方向に同等の高耐力を発揮できる補強材で、2017年に耐震ブレース、2018年に制振ブレースとして日本建築センターの鋼構造評定を取得。成田PC工場で製造体制を確立し、今回の生産施設への初適用によりで、本格的な活用の段階へと移行した。
耐震ブレースを適用した生産施設は、鉄骨造・地上4階建てで、1階の生産工程エリアの大部分は2層吹抜けの構造。中央部分の大規模な吹抜けを取り囲むように設置された2階床は、見学者からの視線と下階での有効高さを確保するため、エリア毎に要求される設置高さが異なる。そのため、同一階の中でエリア毎に柱長さが違い、そのままでは剛性の平面バランスに偏りが生じてしまう。
対策として、少ない設置箇所数で効率よく効果を発揮するブレースを、2階の一部架構に設置し、剛性バランスの偏りを改善することで、耐震安全性能を確保した。
戸田式座屈拘束ブレースは、芯材となる鋼材を2つの拘束材で挟み込み、一体化して拘束することで、芯材の座屈を防ぐ。通常のブレースと比べ、設置箇所数の削減が可能で、ブレース以外の構造部材断面も低減され、建物のトータルコストの削減につながるメリットがある。
ブレースの製造は戸田建設の成田PC工場で行い、座屈拘束ブレースの性能に多大な影響を及ぼす充填(じゅうてん)材の平滑性や芯材とのクリアランスを拘束材コンクリート平滑度の施工精度±1mm(ミリ)の高精度で管理することができる。
また、拘束材を分割型とすることで、充填材の状況や平滑精度、芯材と拘束材のクリアランスなどを目視によって確実に管理することが実現する。
戸田建設では、生産施設にとどまらない幅広い用途で、地震に強い建物を提供するため、設計施工物件を中心にコストパフォーマンスの高い戸田式座屈拘束ブレース(TO-BRB)の適用を積極的に展開していく。
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