VR体験型の現場教育システムを淺沼組が開発、ヴァーチャル現場で施工工程を学習:VR
淺沼組は、施工品質の向上と優秀な施工管理部門の人材確保を目指し、3DモデルやVRを用いた体験型の現場教育システムを開発した。
淺沼組は2020年2月20日、中期3カ年計画(2018〜2020年度)の中で個別施策に掲げる「ICT活用による生産性向上」と「優秀な人材の育成(研修の充実)」の一環として、技術研究所で3DモデルやVRを用いた体験型現場教育システムを開発したことを発表した。
品質管理や安全管理の基本をVRでリアルに学ぶ
新システムは入社1〜2年目の社員を対象に、S造研究開発施設やRC造集合住宅をはじめ、多様な種類や用途の施工工程を通して、品質管理や安全管理の基本をより現実に近いかたちで学べる学習ツール。
システム上では、施工工程を映像化することも可能で、技術研究所の増築に合わせ、杭打ちから鉄骨建て方、足場解体、内装仕上げまでのフローを3D映像化し、各工程における重要な管理手法などを研修する際に利用。受講者は、3D化した現場のウォークスルーで、複数の異なる現場を短時間で体験した。また、クイズ形式の演習と解説で、品質や安全管理(QCDSE)の知識を身に着けた。
現状ではS造の工程管理を対象としているが、これからはRC造にも対応し、さらに土木工事でもさまざまな工程が体験できるように、範囲を広げていくとしている。
3D技術の応用やVRの疑似体験によって、従来の口頭や資料を中心とした学びから、視覚的なVRに置き換えることで、受講者の理解度がいままで以上に深まり、現場に潜んでいる危険性のチェックや施工品質上で見ておくべき確認項目の把握にもつながる。
淺沼組では、既に社内のインターンシップや内定者説明会でシステムを活用している。学生の建設現場に対する関心を疑似体験を通して高めることで、施工管理部門の将来的な人材確保や育成効果を見込む。
今後は一層の開発を進め、習得度合いによってバーチャル現場が切り替わる機能の追加やeラーニングも拡充させる他、同業他社との連携も視野に入れている。
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