ドローンの屋内自動飛行を容易にする新システムを展示、マーカー設置は不要:ジャパンドローン2020
近年、作業の効率化などを目的に、ドローンを用いた屋内での点検や巡視が注目されている。だが、GPSデータの取得が難しいことが、室内でドローンを運用する点で障壁となっている。ブルーイノベーションは、状況を踏まえ、ドローンの屋内活用を容易にする新システムを開発した。
ブルーイノベーションはこのほど、「ジャパンドローン2020 第5回」(会期:2020年3月25〜27日、幕張メッセ)で、屋内設備の点検などで役立つドローンインドアフライトシステム「BI AMY2」を展示することを発表した。
障害物の自動回避機能も搭載
BI AMY2は2020年1月9日に発売した製品で、GPSデータの取得が難しい屋内にて、ドローンの自己位置推定をサポートし、安定した自動飛行を可能にする。従来品「BI AMY」は、ドローンに搭載したカメラで、施設内に設置したマーカーを検知し自己位置推定する方法を採用していたが、マーカーの配置や事前に地図情報を作成する手間があった。
施設によってはマーカーを任意のポイントに置けないことや障害物を回避する機能を備えていないことも課題になっていた。
こういったハードルを乗り越えるため、BI AMY2では、マルチセンサーポジショニングとセルフナビゲーションという2つの機能を実装した。
マルチセンサーポジショニングはマーカーの配置が不要で、施設や運用形態などに応じて、ドローンに取り付けられた複数のセンサーデバイスから、環境に適したセンサーを接続し、現在地に関するデータを補完することで、±数センチという高精度な自己位置推定を実現する。ドローンだけでなく、ロボットやAGV、UGVへ適用することも容易だ。
セルフナビケーションは、事前に地図情報をシステムに入力しなくても、リアルタイムにマッツピングしながら自動飛行が行え、ルート上に障害物がある場合でも、それを認識し自動的に回避経路を生成する。
ドローンのコントロールには、AGVやUGVにも使えるクラウドシステム「Blue Earth Platform(BEP)」を使用しており、ドローンに取り付けられた小型スマートバッテリーはシステム上で状態の監視も進められる。
この他、これまで人が踏み入れなかったガス管を点検できる球体型ドローン「ELIOS」も披露される予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ドローンは屋内工事で有効なのか、新菱冷熱工業の検証
新菱冷熱工業は産業技術総合研究所と共同で、建築設備工事の生産性向上に向けた、建物内でドローンを活用するための基盤技術の開発を進めている。第1弾として、建物内での安定飛行と目標物への正確なアプローチを果たす技術の確立のため、風量測定用ドローンを開発したという。 - ミライト・テクノロージーズがコマツとドローンで業務提携
ミライト・テクノロジーズは、注力しているドローン事業で、事業領域を拡大する初弾として、建設機械のコマツと業務提携した。コマツが5月から提供を開始するドローン測量サービスで、パイロット育成や全国の広域ネットワークを活用した運航代行などで全面サポートしていく。 - ドローンの全自動運用を実現する「SENSYN DRONE HUB」、ビル点検や被災現場などで活用
センシンロボティクスは、自動で離着陸が可能になる完全自動運用型ドローンシステム「SENSYN DRONE HUB(センシンドローンハブ)」の提供を開始した。同システムは、ドローン本体、自動離着陸・充電を行う基地、制御ソフトウェアなどを一体化させている。カメラを搭載することで、大規模な工場やビルの点検、災害現場での監視などを、効率的かつ安全に行うことができる。同社提供のソフトウェアと連携することで、簡単にフライトプランも設定できる。 - 「次に来るのは“大脳積んだドローン”」UAV開発の先駆者・野波健蔵氏の講演から探る
日本ドローンコンソーシアム(JDC)の野波健蔵会長(千葉大学名誉教授)は、「第5回国際ドローン展」で特別講演を行った。野波会長は、1998年から完全自律型ドローンのマルチコプター(UAV)開発に携わり、大学発ベンチャー自律制御システム研究所(ACSL)を立ち上げるなど、国内におけるドローン界の第一人者。これからのドローンには何が必要か、また、土木・建築領域で活用が拡大していくにはどんなことが壁になるのかを野波会長の講演から読み解く。