Wi-Fiとビーコンタグを組み合わせた低コストな屋内測位システムを構築:情報化施工
PicoCELAと錢高組は、Wi-Fiとビーコンタグを組み合わせた低コストな屋内測位システムの構築を進めている。
PicoCELAと錢高組は、Wi-Fiとビーコンタグを組み合わせた低コストな屋内測位システムを物流倉庫で活用する実証実験を実施した。屋内測位システムは、PicoCELAのLAN配線工事レスのアクセスポイント「PCWL-0400」とクラウドシステム「PicoManager」を用いて構築された。
無線LANのAPにBLE通信機能を搭載
実験では、無線LANアクセスポイントであるPCWL-0400に、BLE※1通信機能を搭載することで、測位機器とし、システムを作り上げた。測位情報についてはPicoManagerへ連携、表示させることで物流倉庫内において、高所作業車の位置把握など、現場管理における実用化を検証した。
屋内環境では、時間ごとに変化する状況に対応するため、初期投資費や維持管理費などにかかるコスト負担が大きいことが課題となっていたが、今回の実験で、低コストでのシステム構築に成功した。
従来、屋内測位システムは屋内測位用BLE通信の受信機と、その情報をネットワークに送信する無線LAN機器が別々となっていたため、経済性や柔軟性、拡張性に欠けていた。錢高組は、PicoCELAの無線LANアクセスポイントにBLEの受信機能を一体化することで、測位機器として使用できるのではないかと考え、実験に至ったという。
実験では、BLEが搭載しているブロードキャスト機能である省電力で到達距離約100メートルの電波送信を用いることで、アクセスポイント数の削減を達成し、4台の測位機器で試みた。1フロア約2万平方メートルの物流倉庫で、稼働中の高所作業車をリアルタイムに把握した。結果、これまで使用していたBLEのペアリング機能(省電力で到達距離約15mの電波を送受信する)に相当する測位精度が得られることを確かめた。さらに、Wi-Fiとビーコンタグを組み合わせ、低コストで室内測位システムを形成した。
今後、PicoCELAは、PCWL-0400を建設現場や物流倉庫、工場、大規模商業施設、オフィスなどで広く利用できるようアクセスポイントとして提案していく。
※1 BLE:Bluetooth Low Energyの略。無線技術であるBluetoothの一部で、バージョン4.0から追加になった低消費電力の通信モードのこと。
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