パスコは2019年年12月27日、インドネシアで地球観測衛星データの活用に関する実証実験を開始することを発表した。実証試験は2018年10月16日に、インドネシア航空宇宙研究所とパスコが衛星データ活用プラットフォームシステム(ReDaNo システム)※1構築に関する協力合意を締結した活動の一環として実施される。
分解能で自動的に農地ポリゴンを抽出
実証実験では、パスコの人工知能(AI)技術を活用して、異なる分解能を持つ地球観測衛星から効率的かつ自動的に農地ポリゴンを抽出して、圃場(ほじょう、農地)の場所を推定し、定期的にモニタリング可能な技術を確立することを目的としている。なお、AI技術に関しては、日本で実績を有する自動抽出アルゴリズムをインドネシアの環境に対応するように調整し、精度を高める。
今回、実証試験を行った要因には、インドネシアでは、農地管理とともに固定資産税の適正化を目的とした圃場における広さや作付け状況に関する情報収集について、その正確性に課題を抱えていることがある。とくにインドネシアでは、圃場の6割以上が山間部に位置することや露地(ろじ)養殖が盛んに行われており、衛星画像や航空写真からの目視判読に限界があった。
実証実験で得られた成果は、農地マップの更新や水路整備における適正地選定、農地管理支援などへ活用していく。
※1 ReDaNo システムとは、東南アジア地域における災害、海面上昇、違法操業などの情報をニアリアルタイムで観測し、インドネシア政府および近隣諸国へ、地球観測衛星画像を用いた情報提供を行う事を目的としてインドネシア航空宇宙研究所が構築を進めているデータプラットフォームシステム
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