積水ハウスの”億邸”、品川展示場でチーフアーキテクトのこだわりを見た:住宅市場(4/4 ページ)
積水ハウスは、都心でのプライベート居住空間をコンセプトにした新ブランドの販売をスタートさせた。「億ション」ならぬ「億邸」(1億円を超える新築戸建て)という高額なブランドラインを開発した意図やその住宅性能について、全国にまだ2棟しかない品川シーサイド展示場のモデルハウスで取材した。
チーフアーキテクトが完全別邸設計
緑化については、積水ハウスの強みでもある植栽計画「5本の樹計画」に基づき、吹抜けや室内の各所に緑を効果的に配置して、木漏れ日を創り出している。「室内にはカーテンをあえて付けず、安らげる木陰を室内に作り、普段の生活の中で自然を感じ、光や風とともに家族が心地よく過ごせる住まいとしている。親・子・孫の3世代にわたり、都会で住み継ぐことができる100年住宅として提案している」(細川氏)。
REGNUM COURTの想定している購買層について細川氏は、「40代後半から60代のセカンドキャリアに差し掛かった余裕のある富裕層がメインターゲット。子供の巣立ちとともに、第2の人生を都心でゆっくり暮らしたいという個々のニーズに応えていきたい」。
高額物件であるがゆえ、敷地条件やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)など、多様なオーダーに対応すべく、住宅の設計は、積水ハウスの厳格な資格制度で選ばれたトップクリエイター集団「チーフアーキテクト(CA)」をはじめとする経験豊富な設計士が、「完全邸別設計」で担当する。チーフアーキテクトには、契約する検討の段階から、条件面やプランなどの相談にも応じてもらえる機会も各展示場で用意されているという。
REGNUM COURTの価格は3.3平方メートルあたり90万円から(本体のみ、税別)。販売目標は年間100棟を目指す。
★積水ハウスの独占インタビュー:
「ハウスメーカーが構想する“不動産ブロックチェーン”の可能性とインパクト」
積水ハウスは、2020年以降を見据えた“住”関連ビジネスの基盤づくりを進めており、その一環としてブロックチェーンを活用した次世代不動産プラットフォームを構想している。
次世代不動産プラットフォームには、通信会社、ガス会社、保険会社が参画しており、将来ビジョンでは水道や電力、行政などとの連携も視野に入れ、異業種間での新規サービスの創出を見込む。
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