ニュース
短時間で切羽の地質情報を定量的に評価する新システムを開発:山岳トンネル工事(2/2 ページ)
安藤ハザマは、ICT技術により山岳トンネル工事の生産性を高める取り組みとして、統合型掘削管理システムの開発を推進している。
各機をネットワークで接続
切羽地質情報取得システムは、専用の計測車両や計測機器、中央制御室などをネットワークで結び、データ取得からデータ処理までの一連の作業を自動化している。専用の計測車両には、マルチスペクトルカメラとステレオカメラ、ハロゲン照明、制御PCなどのデバイスを搭載。
取得したデータは制御PCで演算処理され、処理結果が、即座にタブレット端末に転送される。処理結果はネットワークを通じて、坑内に設置した中央制御室や現場事務所、本社・支店にも共有される。
これまでの切羽観察は、トンネル掘削作業の合間を縫って短時間で行われる現場職員の目視観察による評価が中心で、精度や定量化に課題があった。さらに、正確に切羽観察を行うためには、ハンマー打撃による切羽岩盤の硬さの確認や割れ目にクリノメータ を当てて走向傾斜を確認するなど、切羽直下で作業をする必要があり安全面に問題があった。
切羽地質情報取得システムを用いることで、観察者による評価のばらつきが無くなり、時間をかけずに高い精度で定量的な査定が進められるようになった。同時に、切羽直下への立ち入りが不要になり安全性が高まった。
現在、新システムは、2つの現場で運用しており、今後、順次、新規トンネル工事に導入していくという。導入先での運用結果をもとにアルゴリズムの改良を行い、評価精度をさらに向上し、山岳トンネル工事の生産性を高めていく考えだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- RPAでトンネル切羽の評価点を自動予測、プロジェクターで安全性を色分けして投影
安藤ハザマは、トンネル切羽安定度予測システム「TFS-learning」に、RPAを用いて切羽前方の評価点を予測して地山等級を判定する機能と、カラーコンター図を切羽に投影するプロジェクションマッピング機能を追加した。 - 山岳トンネル工事の切羽面を“3Dスキャナー”で点群データ取得、整形が必要な箇所を可視化
西松建設とビュープラスは、山岳トンネル切羽掘削面の整形作業の安全性向上と効率化を目的に、「切羽掘削形状モニタリングシステム」を開発した。高速3Dスキャナーで、切羽面の整形が必要な箇所を15秒程度で迅速に可視化し、作業効率と安全確保をもたらす。 - トンネル工事のコンクリ吹き付けロボ、リアルタイムで切羽面の出来形を計測
戸田建設、清水建設、錢高組、西松建設、前田建設工業、エフティーエスの6社は共同で、山岳トンネルのコンクリート吹き付け作業を自動化する技術の開発に着手した。同時にコンクリの厚さをリアルタイムで計測するミリ波レーダーシステムの実用化も目指し、トンネル工事に適用して有効性を確認した。 - 山岳トンネル工事で切羽のコンクリート吹付を遠隔操作
大成建設は、山岳トンネル工事で、切羽(掘削面)のコンクリート吹付を遠隔化する「T-iROBO Remote Shotcreting」を開発した。