段差・雨天に対応した多機能巡視点検ロボ「SP01」:2019国際ロボット展
正興電機製作所は、巡視点検ロボット「SP01」を、電力会社をメインターゲットに、拡販している。
正興電機製作所は、「2019国際ロボット展」(会期:12月18〜21日、東京ビッグサイト)に出展し、巡視点検ロボット「SP01」※1を訴求した。
メーターの読み取りも可能
SP01は2Dレーザーナビゲーションシステムを搭載した多機能巡視点検ロボットで、雨天や荒れた路面でも点検を行える。
取り付けられた2Dレーザーセンサーで周辺環境をマッピングし、指定のルートを自律走行するため、GPSは不要。点検内容、時間、頻度などを設定すると、自動でメンテナンス作業を進める。施設内に設置された機器のメーターの写真と動画を定時・定点で撮り、自動で記録・判断し、その値が異常値の場合は警報を鳴らせる。
装着された赤外線カメラで撮影した機器の最高温度と、撮影場所を専用クラウドに表示できる他、設備の温度上昇を分析し、危険な状態ならアラートで知らせる。また、内蔵された音声採集装置で設備内の音を収録し、専用クラウドにアップロードする。さらに、点検結果は、取得したデータを基に、自動的にレポートを作れるため、事務作業の削減が期待できる。
多様な路面状態で走行可能なことも利点だ。段差・水深ともに最大10センチまで対応しており、傾斜は最大20度まで走破する。障害物がある場合は自動で停止し、備え付けの自己点検機能により機体の異常を検知したときは、警報灯を点滅させ、エラー情報を専用クラウドへ転送しログを残す。エネルギーの残量が少なくなると、自動で充電ステーションに戻る。
正興電機製作所の担当者は、「SP01は中国の電力配送会社である国家電網で運用されている巡視点検ロボット1000台のうち、全体の30%を占めている」とコメントした。
SP01のサイズは565(幅)×950(奥行き)×980(高さ)ミリで、重さが117キロ、最高速度が時速3.6キロ。駆動方式は4輪駆動で、最小回転半径は0.45メートル。可視カメラは光学30倍ズームのフルHDカメラで、赤外線カメラの測温範囲はマイナス20〜550度。バッテリーはリチウム電池で、充電時間が約4時間、最大稼働時間が約7時間。通信環境は、Wi-Fi2.4GHzやWi-Fi5GHz、5Gに対応。使用環境はマイナス20〜45度。
※SP01は、中国の協力メーカーが開発した製品で、正興電機製作所が国内代理店契約を結び、2019年1月から販売を開始している。
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