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三菱地所の次世代自動運搬ロボット実証実験、スマートシティーを加速LiDARのマッピングで屋内外走行を実現(1/2 ページ)

三菱地所はスマートシティー実現に向けた動きを加速させている。2019年5月、都内で米国マーブル製自動運搬ロボット「Marble(マーブル)」の自律走行実験をオフィス街の3つのコースで実施。加えて、ロボットを用いたスマートシティーの将来構想について説明した。

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 三菱地所は2019年5月17日、東京の丸の内オフィス街で、米国マーブル製の自動運搬ロボット「Marble(マーブル)」の実証実験を披露。「日本でのMarbleの実機披露や走行実験は今回が初めて」(同社)。また、三菱地所が期待するロボットを活用したスマートシティーの将来構想について紹介した。

LiDARと複数のカメラによるマッピングで屋内外の走行を実現

 Marbleは搭載されたLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)と複数のカメラで外部環境のマッピングを行い、屋内外双方での自律走行を実現している。通常の屋外走行ロボットはGPSを利用しているため、屋内の自律走行が難しかった。Marbleはその課題を解決しており、屋内を起点とした商品や荷物などの配送に加えて、将来的には公道を経由して複数の建物間を自律走行し、無人でのエリア物流の実現も期待できるという。

自動運搬ロボット「Marble」。LiDARと複数のカメラで外部環境のマッピングを行い、屋内外双方での自律走行を実現している
自動運搬ロボット「Marble」。LiDARと複数のカメラで外部環境のマッピングを行い、屋内外双方での自律走行を実現している

 今回の実証実験は、同社が丸の内のオフィス街に展開するサードプレイス(自宅でも会社でもない第3の場所)「3×3 Lab Future」がある大手門タワーJXビル周辺で実施。屋外のコースや屋外から屋内を経由して屋外に進むコースなどをMarbleが自律走行した。

Marbleによる自律走行実証実験の様子
Marbleによる自律走行実証実験の様子

 さらに、自律走行するMarbleの前へ急に歩行者が飛び出すといったデモンストレーションも行い、歩行者との接触事故が起きないことを披露し優れた安全性もアピールした。現在の日本では公道の自律走行が道路交通法上で認められていないという課題があるため、当面は、自社敷地内での実証実験を重ねるとともに、商業施設やビル内での搬送ツールでの活用を目指していくという。

自律走行するMarbleの前へ急に歩行者が飛び出すといったデモンストレーションも実施
自律走行するMarbleの前へ急に歩行者が飛び出すといったデモンストレーションも実施

 マーブルのCo-Founder兼CEOのKevin Peterson氏は「サンフランシスコでは有料の配送サービスとして店舗から顧客への生活用品や雑貨の配送などに活用されている」と現状について語った。

マーブル Co-Founder兼CEOのKevin Peterson氏
マーブル Co-Founder兼CEOのKevin Peterson氏

 三菱地所が期待するロボットを活用したスマートシティーの将来構想の紹介では、同社DX推進部統括の渋谷一太郎氏から、スマートシティー実現に向けてロボット活用に注力している背景について語られた。

 ロボット活用の背景には、近年における同社が管理するビルの延床面積の拡大による管理業務の増大と、東京駅周辺で最大となる敷地面積3.1ヘクタールに及ぶ大規模再開発プロジェクト「東京常盤橋プロジェクト」があるという。同プロジェクトでは延床面積14万平方メートルのA棟、49万平方メートルのB棟の建設を予定している。これらの施設の効率的な管理を実現するためロボットの活用に期待しているという。

三菱地所 DX推進部統括の渋谷一太郎氏
三菱地所 DX推進部統括の渋谷一太郎氏

 また、将来的なロボットを活用した構想については「Marbleを用いることで労働力不足の問題の解決策となる可能性がある。例えば、配送物の屋内の運搬をMarbleに行ってもらうことで、高層階のビルやマンションの配送の効率化を図ることができ、物流問題の解決の一助になる」(渋谷氏)と語った。

 このほか、2019年4月に同社グループが運営するオフィスビル、商業施設などに100台導入したソフトバンクロボティクス製AI清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」や、横浜ランドマークタワーにおいて2018年9月に行った、警備・清掃・運搬ロボットを活用した実証実験に関して紹介した。

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