執務者の体感温度に応じた空調管理、アズビルの「温冷感空調システム」:BAS
アズビルは各執務者の体感温度に応じた空調管理が行えるシステム「温冷感空調システム」を開発した。それぞれの執務者が望む室内温度を実現する新システムは、個々の生産性向上や省エネルギー化を後押しすることが期待されている。
アズビルは2019年12月25日、オフィスビル向けに、室内の各執務者が求める室温を提供する新システム「温冷感空調システム」の販売を開始した。
要求が一時的か恒常的か判断する機能
これまで、オフィス空間における室内温熱環境設定は、壁面に取り付けられた設定器までの移動や操作が煩わしく、特定の執務者によって設定されるケースが多く、調整頻度が少ないため、空調の無駄が発生するといった課題があった。
新システムはこういった課題を解消している。新システムは無線を備えたカード型のユーザーインタフェース「温冷感申告カード」を用いる。執務者は、カードの「暑い」「寒い」などが記載されたボタンを用いて、体感情報を無線でシステムに送信し、自身に最も近い空調設備の調整が可能。PCやスマートフォンからも室温に対する要望を申告できる。
また、執務者からの要求が一時的か恒常的かを判別する機能を搭載しており、一時的な要求である場合には一定時間経過後に設定値を戻す。例えば、出勤時や昼食後など、代謝量が上がって暑く感じる時間帯の申告は一時的と判断し、代謝量が落ちるころに設定値を元に戻すため、エネルギーロスが少ない効率的な空調管理が進められる。
2タイプの温冷感申告カードを採用
新システムは、アズビル、村田製作所、戸田建設の3社が、2017年から実施している室内空間の快適性と省エネルギー性を評価する共同実証実験の成果を活用して開発された。既に、第1号案件として戸田建設の本社移転先である新築ビル「T-FIT HATCHOBORI」のオフィスエリアに導入されている。温冷感空調システムの申告カードはUSBケーブルで準電する従来型とワイヤレス給電技術を用いた送電台に乗せて充電するタイプの2種類を採用。
T-FIT HATCHOBORIには温冷感空調システムの他に、千葉工業大学の望月悦子教授が監修し、村田製作所とコイズミ照明と共同開発したスマートオフィスライティングなど執務環境の質を高めるスマート技術を複数取り入れているという。
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