橋梁の床面を走るドローンシステムが本格事業化、画像と打音を同時に取得:2019国際ロボット展
新日本非破壊検査は、2014年に開発したドローンによる近接目視・打音検査システムを2019年から本格的に事業化している。2019年12月18〜20日に、東京ビッグサイトで開催された「2019 国際ロボット展」では、新型のドローン点検システムを訴求した。
新日本非破壊検査は、「2019国際ロボット展」(会期:2019年12月18〜21日、東京ビッグサイト)に出展し、ドローンによる近接目視・打音検査システムを披露した。
0.1ミリ幅のひび割れを抽出
これまで、インフラ点検は特殊車両や足場が用いられることが多く、コスト面や安全対策、交通規制などが課題だった。技術面においても、専門的知識やノウハウのある人材に依存していることが指摘されてきた。
今回展示されたシステムはこういった課題を打開する目的で開発。新システムは、ドローンを活用した点検ロボットで、人が近づけない橋梁(きょうりょう)の部位に近づいて点検する。打音・画像の2種類の解析による定量的な評価を進められ、安全かつ低コストで、専門知識を必要としない。
適用設備はRC造およびPC造橋梁のコンクリート床版下面で、打音と画像検査により、浮きやはく離、ひび割れなどを検出する。
他社のドローンを使用したシステムとの違いについて、新日本非破壊検査の担当者は、「ドローンに駆動車輪を取り付けている。主に橋の上からドローンを飛行させ、橋梁の底面に到着したら、車輪で走行させ、打音と画像取得を同時に行う。このワークフローにおいては、落下防止のため、ワイヤをドローンに装着している」とコメントした。
深さ50ミリの空洞の検出も可能な専用ソフトによる打音解析は、プロペラ音の除去と周波数の分析に基づく強度の可視化、スペクトルの数値化を根拠とした健全度評価に対応している。
0.1ミリ幅のひび割れを抽出する専用ソフトを使った画像解析は、遠近・魚眼の画像補正やひび割れ幅と長さの形状測定、AIによるひび割れの自動検出に応じている。
両ソフトは、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」事業の一環として製品化したもの。新非破壊検査は、九州工業大学や北九州工業高等専門学校、名古屋大学、福岡県工業技術センターとともに両ソフトを共同開発した。福岡県・江原大橋や岐阜県・各務原大橋などの20橋梁で点検実績を有しているという。
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