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高砂熱学の水電解技術が“月面”へ、水素/酸素生成を実験産業動向

高砂熱学工業は、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」に参加することをア明らかにした。プロジェクトでは、月へ打ち上げるロケットに水電解装置を積み、月に豊富に存在するといわれる水から電気分解で水素と酸素を取り出すことを想定した実験を試みる。

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 高砂熱学工業は2019年12月18日、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業ispaceと、世界初の民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」のコーポレートパートナー契約を締結したことを公表した。

月面環境で、水素/酸素生成の実証実験

 HAKUTO-Rとは、ispaceが2023年までに行う2回の月探査ミッションを指す。オリジナルのランダー(月面着陸船)とローバー(月面探査ロボット)を開発し、2021年に月面着陸、2023年には月面探査を行う。打ち上げにはSpaceXの商業用ロケット「Falcon9」を使用する予定だ。


史上初の民間月面探査プログラムHAKUTO-Rのランダーとローバー(イメージ) 出典:高砂熱学工業

 HAKUTO-Rで高砂熱学工業は、2023年に予定されている月面探査ミッション時のランダーに、水の電気分解装置を搭載させて、熱利用と水電解でこれまでに培った技術を用い、世界初の月面環境での水素/酸素生成の実証実験を目指す。

 月に数十億トン存在するとされる水は、月面で活動するための貴重な資源となる。水は電気分解によって水素と酸素を取り出すことが可能で、月面でのエネルギーとして利用が見込める。

 地上では既に実証されている再生可能エネルギーを利用した水電解技術は、省コスト化とCO2の無排出を両立。高砂熱学工業は、水電解・燃料電池一体型セルの開発にも成功している。宇宙資源開発に向けたR&Dを進めるispaceは、水電解技術の限られた空間に存在する限られた資源をエネルギー化するテクノロジーに着目し、ロケットの燃料や機器の動力としての価値を見い出し、今回の協業に至った。

 2023年の月面探査を目標にした水電解技術の実験では、水と水電解装置が搭載されたランダーの月面輸送、月面着陸後のランダー上での水の電気分解というプロセスで、月面環境における水素ガスと酸素ガスの生成にチャレンジする。

 高砂熱学工業とHAKUTO-Rは、月面での実証実験を通じて、あらゆる環境下での水素エネルギー有効化の実証と、地球上での水電解テクノロジーの発展を組み合わせ、資源の有効活用、事前環境の配慮、持続可能な社会の構築に貢献していく。

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