日本初の超高層ビル「霞が関ビルディング」、竣工50周年を記念してプロジェクションマッピング
日本初の超高層ビル「霞が関ビルディング」。2018年4月12日で、1968年のビル完成から半世紀を迎える。三井不動産は竣工50周年を記念して4月12日〜5月31日、夜のビル壁面にアート作品をプロジェクションマッピングで投影するイベントを行う。
三井不動産は2018年4月11日、日本初の超高層ビル「霞が関ビルディング」(東京都千代田区)が翌12日で竣工から50年の節目を迎えることに先立ち、ビル壁面にアート作品を投影するプロジェクションマッピングの点灯式を同所で開催した。
霞が関ビルディングは、1963年の建築基準法の高さ制限撤廃を受け、それまで31mまでに抑えられていた規制を超えた、高さ147m・36階建ての日本初の超高層ビルとして1968年に完成。当時としては先進的なプレハブ工法や大型H型鋼、セルフクライミング方式など、現在では一般的となっている画期的な技術革新が積極的に取り入れられ建設された。
竣工50周年の記念イベントでは、ビル壁面に、世界的なデジタルアーティストの長谷川章氏が発明した空間照明アート「デジタル掛け軸」を投影。ビルをキャンバスに見立てて映し出される幾何学模様の絵柄は、地球の自転速度と同期して常に絵柄が変化するため、同じデザインを2度と見ることはできないという。イベント期間は4月12日〜5月31日の1カ月半(土日祝は休み)。時間は午後6時〜午後10時の夜間に行われる。期間中、地上部のテラスには飲食できるスペースが設けられ、夜の空に彩られるビルを眺めながら食事などを楽しむことができる。
11日の式典では、三井不動産 常務執行役員 ビルディング本部長 植田俊氏が登壇し、「霞が関ビルディングは前回の東京オリンピックの頃、まさに日本の青春時代に計画された革新的な建築物。50年の時を経てもなお、成熟しさらに価値を高める『経年優化』を体現している。2020年には再び東京で五輪が開催されるが、同ビルもレガシーではなく、これからの変化に期待してもらいたい」と述べた。
デジタル掛け軸の点灯は、植田氏と、長谷川氏、同社CMキャラクターの蒼井優さんが、カウントダウンで点灯ボタンを押して、夜の霞が関に色彩豊かな幾何学模様を映し出した。
長谷川氏は、1972年に同ビルでアポロの月面着陸を祝う国内初のウィンドウアートが行われたことなどに触れ、「このビルが先駆けとなって、日本にも続々と高いビルが花咲いた。これからは、建築物の上に光の色彩を当てて、ビル自体をアート作品と見なすような都市景観を作る試みが増えていくだろう」とコメントした。
霞が関ビルディングの概要は、敷地面積1万1578.43m2(平方メートル)。延べ床面積15万3959.23m2。構造はS造・一部SRC造、地上36階・地下3階・PH3階。設計は山下設計、施工は鹿島・三井建設JVが担当した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- どう影響する? 国交省がプロジェクションマッピングのガイドラインを策定
国土交通省は2018年3月30日、プロジェクションマッピング実施の環境整備を後押しする「投影広告物条例ガイドライン」を公表した。国土交通省 景観・歴史文化環境整備室 渡瀬友博室長にガイドライン策定の目的などを聞いた。 - 切羽面を3Dに、トンネル施工のドリル誘導を効率化する新システム
鹿島建設は演算工房と共同で、山岳トンネル工事でドリルジャンボの削孔を誘導する新システムを開発したと発表した。オペレーターの操作を支援し、正確で迅速な削孔に貢献するという。 - 日本初の“電力会社に依存しない”ビル、太陽光100%で実証運用
大和ハウス工業が佐賀県の自社オフィスビルで実証を開始。蓄電池を活用して太陽光発電だけの電力でビルの消費電力を賄い、電力系統に依存しないシステムの構築を目指すという。 - 田町駅前で、国内初の配電機器を活用したデジタルサイネージ実証実験
東京電力とパナソニックが東京都港区のJR田町駅前の歩道上で、配電地上機器を利用したデジタルサイネージを設置し、2018年4月4日に実証実験を開始した。2019年3月までの実験期間中に、歩行者への影響、放映内容、費用対効果などを検証する。