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無人で月面の有人拠点を構築する鹿島の“遠隔施工システム”が実現に向け前進(1/2 ページ)

JAXAが開発を進めている月面に拠点を建設する無人施工の技術が、実現に向けて大きく前進した。技術のベースには、鹿島が2018年12月にダム工事で本格導入した、建設機械を自律自動化する「A4CSEL(クワッドアクセル)」が採用されている。

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2019年3月28日、直接人が立ち入ることなく、月面で有人拠点を建設する技術について、実験に基づき、実現の可能性が見いだせたと発表した。

 共同研究による成果で、鹿島建設などが参加している。月面での拠点構築をイメージした2種類の自動化建設機械を開発し、離れた場所からの遠隔操作と自動運転の施工システムを実現。同システムの基盤には鹿島建設が運用する自動化施工技術「A4CSEL(クワッドアクセル。以下、A4)」が採用されている。

通信性能の向上、遠隔操作、自動制御を協調させる遠隔施工システム

 鹿島建設のA4は本来、建設業における将来の熟練技能者不足の対策として、建設機械の自律・自動運転を核に2015年から運用が進められてきた次世代建設生産システムだ。施工の省力化にも効果的なため、今回導入が試みられた。月や火星に有人拠点を建設する際は、地球上から建設機械を遠隔で操作することが想定され、同技術の自動化施工が有効とされた。


月面有人拠点のイメージ1 出典:JAXA

月面有人拠点のイメージ2 出典:JAXA

 一方、これまで地球上から月面の遠隔操作には、通信による時間差が生じ、効率や精度が落ちることなどが課題とされてきた。これらに対処するため、通信性能の向上や、遠隔操作と自動制御を協調させる遠隔施工システムの実用化が必須だった。

 研究は、科学技術振興機構(JST)イノベーションハブ構築支援事業に基づく、「JAXA宇宙探査イノベーションハブ」の共同研究として実施。JAXA、鹿島の他、芝浦工業大学、電機通信大学、京都大学が参画している。

 月面での拠点構築に向けては4ステップを想定。まず、居住空間となるモジュールの設置場所を整地し、次に所定の深さまで掘削する。モジュールを設置した後は、モジュールを隕石や放射線から遮蔽(しゃだん)するための覆土を被せる作業までを全て遠隔で行う。


月面における拠点構築のイメージ 出典:JAXA

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