三井不動産が注力する“リファイニング建築”、老朽化不動産の建築的/事業的再生を目指す:スマート化/リノベ(2/2 ページ)
三井不動産は、青木茂建築工房のリファイニング建築を活用し、建築的な再生に加え、三井不動産グループが保持している不動産全般のノウハウで事業的な再生も図り、老朽化不動産の抱える課題をクリアにする新規事業を展開している。
建て替えと比較して、約70%のコストで設備と内外装を刷新
リファイニング建築のアプローチでは、耐震性能上で問題のない壁や設備を撤去して、建物を軽量化し、ブレースに頼らない独自の補強方法で耐震性能を向上させることができる。既存躯体の約80%を再利用するため、建て替えと比較して、約70%のコストで設備や内外装を一新。解体と新たな躯体の建築が必要無いため、工期も短縮される。
また、建物本体の規定を全て現行法規に適合させることで、リフォームやリノベーションでは困難な検査済証を再取得し、法的にも新築同様に再生することで将来的な流動性も確保する。構造に関しては、「家歴書」を作成して、補修の過程を全て記録に残す。
三井不動産はこの手法で、2017〜2018年に2物件の再生を完了させ、現在は渋谷区と目黒区で2案件に着手。練馬区と新宿区でも、新規プロジェクトが予定されているという。
このうち、渋谷区の第3号案件は、築51年の共同住宅兼倉庫だった。当初は建て替えを検討していたが、建築当時には無かった日影規制の適用を受けて建物規模が減少するため、十分な事業性能が確保できないことが判明。これ踏まえ、事業性能が最も優れ、事業費の長期借入と環境負荷低減につながるリファイニング建築を採用するに至った。
続く第4号案件は、築54年の共同住宅兼店舗で、斜線規制により建て替えでは現状の建物の規模が確保できないと分かったため、改修による再生を検討。しかし、通常の改修では、建築当初の検査済証が無く、行政協議に支障が出ることや事業費の長期借入が困難になることから、新たな検査済証の取得と長期借入を両立させるリファイニング建築で、物件を再生することとなった。
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