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斜張橋の長寿命化に役立つ装置を開発、斜材保護管内部の水分を測定可能:ロボット(2/2 ページ)
国土交通省の資料によれば、橋梁(きょうりょう)は高度成長期に大量に建設されており、2020年代には、その多くが完工後から55年以上を迎える。さまざま要因により、橋の経年劣化が進む中、メンテナンスや状態の可視化は急務だ。こういった状況の中、西松建設は佐賀大学の伊藤幸広教授と共に、自走式調査ロボット「コロコロチェッカー」と併用することで、斜材保護管内部の水分量を測れる「水分測定装置」を開発した。
斜材延長100メートルのケーブル1本で1時間で調査完了
西松建設の担当者は、水分測定装置の計測時間について、「測定速度はコロコロチェッカー本体と同じで、斜材延長100メートル程度のケーブル1本で1時間で調査完了。例えば、斜材延長が3000メートルあれば、総調査時間は30時間で、1日6時間作業をすると仮定すると、調査日数は5日かかる」と説明した。
今後は、実橋で使用し、充填材の種類や状況が異なる各種斜材で水分測定精度を確かめ、保護管内部のケーブルの劣化要因を詳細に分析できる体制を構築し、斜張橋の長寿命化につなげる。また、鋼材の状態を可視化する機能の開発など、斜張橋の点検業務が安全かつ高精度に進められる技術の開発も推進していく。
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