整備を進める“歩行空間ネットワークデータ”が道路管理にも活用できる可能性を示唆、国交省:プロジェクト(1/2 ページ)
国土交通省は、ユニバーサル社会の構築に向け、整備を推進する歩行空間ネットワークデータが、道路や防災分野で活用できる可能性があることを示している。
国土交通省は2019年6月20日、東京都千代田区の中央合同庁舎2号館で、「令和元年度 第1回 ICTを活用した歩行者移動支援の普及促進検討委員会」を開催し、委員会では、2018年度の取り組みと2019年度の活動方針について説明した。
2018年度はバリアフリーマップの確認を住民投稿で実証
ICTを活用した歩行者移動支援の普及促進検討委員会は、2014年度から開かれており、ユニバーサル社会の構築に向け、障がい者や高齢者に、スマートフォンの専用アプリなどのICT技術を活用し、段差などがない安全な経路を提供するオープンデータサービスの構築を目指している。
2018年度は、各自治体のバリアフリー調査と連携し、歩行空間ネットワークデータを整備する実証を神奈川県川崎市と大阪府大東市の2地域で実施した。
この実証で得られた知見・ノウハウを抽出し、「効率的な歩行空間ネットワークデータ等の整備に関する手引き」を作成。歩行空間ネットワークデータを整備するメリットや課題などがまとめられた。
実証では、道路の段差などのデータ収集を推進するために、多様な団体・既存ユーザーといったさまざまな主体の参加促進と、住民投稿によるデータのチェック・更新も行った。
参加促進では、野外調査などで参加者を募り、社団法人のWheeLog!が運営するバリアフリーマップ作成アプリ「WheeLog!」を活用し、地域の段差などの情報を集めた。インセンティブ付与による投稿促進効果や利用者意識の変化を確認したという。
住民投稿によるデータのチェック・更新の実証では、日本電信電話(NTT)が開発した「MaPiece」という道案内に必要なバリアフリー情報を取得できるアプリを用いて、既に収集済みのデータをアプリ上に掲載し、住民が該当の地点との整合性を確かめて更新。住民が確認作業することでデータの信頼性が向上することが判明した。
この他、歩行者移動支援に関するオープンデータとサービスの自律的な信頼性向上を目的に、歩行空間ネットワークデータの収集や評価の方式ついても検討・整理された。
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