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キヤノンが本格参入するインフラ点検「AIをチューニングして多様なニーズに対応」検査・維持管理(3/3 ページ)

国交省によると、建設後50年以上経過する道路橋の割合は、2033年には約63%にまで増加すると見込まれている。その一方で、定期点検は管理者による5年に1度の点検が義務付けられているが、ある調査データでは全国の市町村における建設系技術者・作業者数は、2050年度には2010年度と比較して半分以下になると予測され、社会インフラ構造物を効率的に点検する手法は業界を挙げて解決すべき社会課題とされている。こうした社会事情を踏まえ、キヤノンはカメラメーカーとしての撮影と画像解析の技術、AIの3つから成る点検サービスで、2019年12月から市場に本格参入する。

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損傷レベルをAIで判定、修繕時期などの検討に


トンネル覆工面画像への適用画像 提供:キヤノン、キヤノンマーケティングジャパン

 インスペクション EYE for インフラの強みについて、穴吹氏は、「他社サービスでは、それぞれ単体で展開していることが多いが、このサービスでは、それぞれに加えて、一貫でもサポートするため、全体の工程で人工が減り、余った時間をより精度を出すためのデータ解析に充てられるようになる。簡易的な点検サービスも世の中にはあるが、例えば自治体の管轄する大規模橋梁などでは高額な橋梁点検車を使うなど、点検に正確さを求めることも少なくない。交通規制の期間が短縮化されるなど、効率化がもたらされるだけに限らず、取得できるデータの高度化も目指していく」と話す。

 次の展開として板橋氏は、「コンクリートのエフロレッセンス(白華)、漏水、剥(はく)離、鉄筋露出といった検知にも応じられるように改良していく。ひび割れだけでなく、その先の損傷レベルの判定もAIで行えるようになれば、(構造物のライフサイクルを考える上で、)修繕や建て替え時期の検討などにも役立つ。点検を行っている各社では、独自の判定基準を運用しているが、ノウハウを若手技術者に伝えられていないのが現状だろう。この部分を画像処理技術とAIで補っていけば、個人のスキルに依存しない新たな点検手法として、技術者の育成にもつながる」と期待を寄せる。

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