住友林業が筑波研究所に木造の新研究棟完成、ZEB実現も視野に:維持管理
住友林業は筑波研究所に木造の新研究棟を完成した。同施設は同社の「W350計画」研究拠点となる。ゼロエネルギービルディング(ZEB)の実現も視野に入れ省エネや再生エネルギーを利用していく。
住友林業は2019年10月21日、茨城県つくば市にある筑波研究所の新研究棟完成のオープニングセレモニーを実施した。完工は2019年9月30日、運用開始は2019年11月上旬を予定している。
新しい研究棟は同社の「W350計画」の研究拠点となり、「木を科学する」先進技術や木に関する幅広い知見を発信する拠点となる。敷地内の整備も含めた総事業費は約25億円。W350計画とは、同社の創業350周年となる2041年を目標に、高さ350m、70階建ての木造超高層建築物を都心で実現するという技術構想だ。
新研究棟は木造3階建て延床面積2532.67平方メートルで、梁(はり)と柱、壁は全館避難安全検証法の大臣認定を受け、燃えしろ設計による木の現し(あらわし。木造建築で柱や梁などの構造材が見える状態で仕上げる手法)を採用する。
屋上面にはソーラーパネルを設置し、木質ペレット焚吸収冷温水機の導入でCO2排出量を大幅に削減した。屋上やバルコニー、外壁も緑化の実験場所として活用することで非住宅木造建築物の緑化技術も研究開発する他、オフィス空間で知的生産性を向上させる緑のレイアウトを検証する。
同社の筑波研究所では開設から28年が経過し、研究棟本館の老朽化と所員の増加への対応が課題となっていた。今回の新研究棟では木構造に関する新技術を採用し、ゼロエネルギービルディング(ZEB)の実現も視野に入れ省エネや再生エネルギーを利用していくとのことだ。
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