「地形状況監視システム」を路面形状のモニタリングで訴求、変状を体積差分で“見える化”:ハイウェイテクノフェア2019
三菱電機は、2018年から河川掘削工事の現場で試験的に運用していた3Dレーザースキャナー一体型カメラ「FV-2100」と専用のサーバを組み合わせた「地形状況監視システム」を拡販している。ハイウェイテクノフェア2019に出展し、高速道路における路面状況や法面のモニタリング用途という新たな需要を開拓している。
三菱電機は、「ハイウェイテクノフェア2019」(会期:2019年10月8〜9日、東京ビッグサイト 青海展示棟)に出展し、3Dレーザースキャナー一体型カメラ「FV-2100」と専用のサーバを用いた「地形状況監視システム」を披露した。
断面図機能で変状の視認性を向上
システムは、FV-2100で特定のエリアを定点観測し、専用サーバと連携することで、監視対象の3D点群データの変化を体積差分量として算出する。この結果をPCで確かめることで、地形変状を調べられる。手動の操作だけでなく、体積差分量がしきい値を超過した場合には、災害の危険性があるとして、自動的に異常を検出し、管理者の所有するPCなどに通知する。
さらに、地形における変化を定量的に把握するために、3D点群データ上で異状箇所の幅・高さの計測と断面の表示機能を備えている。
三菱電機の担当者は、「FV-2100は、静止画の撮影と3D点群データの取得を同時には進められない。だが、3D点群の取得は5〜6分で済むため、時間はかからない」と説明した。
FV-2100が搭載する3Dレーザースキャナーは、測距距離が約300メートルで、誤差±50ミリで測れる。装着したカメラの視野範囲と連動した撮影にも応じており、3D点群データと静止画を合わせて、フルカラーでの3D表示や2点間の距離を測定可能。日付ごとに、3D点群データの管理ができるスケジュール定点観測で、日々情報を蓄積する。
ワイパ・デフロスタを標準装備し、悪天候時も撮れ、夜間でも0.03ルクス(カラー・標準時)を実現。ハイビジョンIP画像伝送に対応(H.264TS/TTS/MJPEG、フルHD〜QVXA)。WWWサーバを積んでおり、IPネットワークを通した映像や3D点群データの情報提供ができる。
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