走りながらトンネルのヒビも自動検出、三菱電機がインフラ向け新サービス:検査・維持管理
三菱電機はトンネルなどのインフラ向け解析・計測サービスの提供を開始。専用車両で走行しながら効率良く計測が行えるのが特徴で、0.3mmのひび割れも自動検出が可能だという。
限られた時間の中で、効率良くインフラの点検や計測を行いたい――。こうしたニーズに向けて、三菱電機は道路、鉄道、トンネルなどのインフラ向け計測システム「三菱インフラモニタリングシステム(MMSDII)」を利用した、設備の計測・解析サービスを2017年11月6日から開始した。昼夜を問わず、交通規制を行わずに道路や線路上を走行しながらインフラ設備の計測を行えるのが特徴で、インフラ点検業務の負荷を軽減するという。
MMSDIIは、自動焦点機能を搭載する8Kの高解像度ラインカメラと、レーザ照明をシステムを備える専用車両を利用する。トンネルであれば、車両を走行させながら全周の高精細画像を撮影可能で、ボルト取り付け状態、漏水状況、ひびの状態確認などを、目視と同等の精度で確認できるという。専用の走行装置を装備すれば、鉄道線路上での利用も可能だ。
レーザーは、毎秒100万点の計測が可能な高密度レーザー装置を2台搭載。ミリ単位の精度で位置座標(緯度、経度、標高)を持つ毎秒200万点相当の高密度な3次元点群データを生成できる。設計図面や工事完成図が存在しない場合でも、計測した3次元データから構造物の現状を正確に把握できるという。過去の計測データと比較することで、経年変化を検出し、点検箇所を絞り込むといった活用も可能だ。
取得した3次元データを利用した変状展開図の作成や、解析作業も自動化している。例えばひびの検出については、三菱電機独自の画像解析アルゴリズムを利用することで、幅0.3mmまでの検出は自動で行える。ひびに起因するウキ、はく離などの変状の自動検出も可能という。さらに検出した結果を自動で変状展開図に反映する仕組みも備え、これまで手作業で行っていた図面作成作業の時間を削減している。
三菱電機は今後、計測解析項目をさらに広げるため、橋梁(りょう)などの計測に必要なセンサーの開発や、トンネル壁面内部にある空洞など目に見えない変状の計測解析技術の開発を進め、サービスの提供範囲を拡大していく方針。さらにMMSDIIを利用した計測・解析サービスの提供と併せて、関連システムの投入も計画中だ。3次元情報と時間軸をベースに社会インフラ維持管理情報を一元管理できる「三菱多次元設備管理システム」や、CIMを活用して建設コストや維持コストと関連付けて維持管理計画を立案できる「三菱 CIM アセットマネジメントシステム」などの開発および市場投入を計画しているという。
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