起業家育成コミュニティーを創設し、日本橋の東側エリアへのスタートアップ入居を推進:プロジェクト
三井不動産は、旧日本橋区の行政区であった約270ヘクタールの地域を昭和通りを中間として、西側をWESTエリア、東側をEASTエリアとし、プロジェクト「日本橋再生計画」として再開発を進めている。このうち、EASTエリアでは、小規模なビルのリノベーションや個性的なカフェなどを誘致し、スタートアップの入居を進めている。プロジェクトの次の手では、起業家の育成にも乗り出す。
三井不動産と起業家や支援者が会するコミュニティーを運営するプロトスターは2019年9月25日、東京・日本橋にスタートアップを集めるプロジェクト「“E.A.S.T.”(Empowering Ambitious Startups in Tokyo)構想」の新企画として、起業育成コミュニティー「Swing-By」を立ち上げることを発表した。
スタートアップ向けの物件拡充を目指す
2018年9月19日に始動したE.A.S.T.構想は、日本橋を中心とした東京の東側エリアで、スタートアップの成長と大企業のイノベーションを同時に実現するエコシステムを構築することが目的。スタートアップの集積、コミュニティーの形成、スタートアップの支援の順に段階的なステップアップを計画している。
現在、三井不動産は日本橋で、スタートアップの入居拡大を目指し、コワーキングスペース「Clip二ホンバシ」や個室オフィス「BEAKER」と「LAUNCH」を運営している。実績としては、2018年から2019年の1年間で、Clip二ホンバシは新規入会75人、イベント開催件数130件で累計約2000人の参加者。BEAKERとLAUNCHは、検討企業数40社、利用社数6社で、稼働率は96%を記録している。
2019年9月25日に都内で開催された記者会見で、現時点でのE.A.S.T.構想の成果について、三井不動産 ベンチャー共創事業部の塩畑友悠氏は、「日本橋がスタートアップにとっての適地であるという認識の広がりや頻繁に開かれるイベントによる企業間の交流と来場者の増加が挙げられる。また、他の地域に拠点があるスタートアップが日本橋へ移転を検討することが増えたこともこの取り組みの実りの1つだ」語った。
一方、課題については、「スタートアップの需要に対して、貸与できるオフィスや広さなどのニーズに則したラインアップがないこと。こういった課題の解消を意図して、部屋数とラインアップの拡大や他事業者との連携、オフィスの情報提供などに注力していく」と続けた。
オフィスのハード面以外の取り組みとなるソフト面のSwing-Byは、起業家としてチャレンジする知識・考え方を身に付けられる社会人向けコミュニティープログラム。事業アイデアの創造やメンバーの収集、軌道に乗った際の起業支援を1年かけて行う「Moonshot Program」と、すでに所有する能力を生かし起業家の仲間となるCxO人材を育成する「AWAKE Program」の2つで構成されている。
コミュニティーへの参加条件は、社会人経験のある25歳以上の個人で、入会にあたって審査を設けており、2019年12月上旬からサービスのスタートを予定している。
記者会見で、プロトスター Co-Founder StartupList責任者の栗島祐介氏は、「Moonshot Programは、アイデアを持つ2人以上いるチームで、リーダーが25歳以上であることを条件としている。AWAKE Programは個人での参加を認めており、アイデアや仲間を探している人を対象にしたプログラムだ。いずれも、毎月2回オープンするディナーミーティングに出席することを必須としており、他の起業家との積極的な交流の場を提供する。また、ゲストを招きトークショーなども行う」と説明した。
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