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東京のオフィス市場は2020年に大量供給も、景気減速で需給バランスの“調整局面”に不動産マーケット動向(1/2 ページ)

事業用不動産サービス・投資企業のCBREは2019年1月10日、特別レポート「不動産マーケットアウトルック2019」を発表した。オフィス、物流、店舗(銀座路面店舗)、投資の4カテゴリーで、今後の予測が分析されている。

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 CBREは2019年1月10日、「不動産メディアセミナー」を東京本社で開催した。セミナーでは、オフィス(全国)、物流(首都圏、近畿圏及び中部圏)、店舗(銀座路面店舗)、投資(全国)のマーケットについて、各セクターの最新トレンドを分析し、2018年を振り返るとともに、2019〜2020年のマーケットの予測を解説した。登壇者はCBRE リサーチ エグゼクティブディレクター・大久保 寛氏。

2020年に大型供給を迎える東京のオフィス市場は転換点に


CBRE リサーチ エグゼクティブディレクター・大久保 寛氏

 大久保氏は「2018年は想定以上に、賃貸マーケットは良い動きを見せた。実体経済が見立てよりも盤石で、為替レートの安定などもあり、好調な経済が不動産にも好影響を与えたことが要因だろう」と2018年を総括した。

 今後の見通しについては、「しかし、そろそろ景気も転換点に差し掛かりつつあるのではないか。2019年は前年と同じ成長になるとみられるが、2020年に関してはゼロ成長になるのではと見ている」。

 ネガティブな要素としては、「消費税増税をはじめ、FRBの金利引き上げや米中貿易摩擦による米国経済の2019年後半からのスローダウンが挙げられる。2020年に大型供給を控える東京のオフィス市場は、向こう1年の間に調整局面へと入るだろう」と予測した。

 セミナーではその後、同日リリースされたCBREの特別レポート「不動産マーケットアウトルック2019」から、オフィス、物流、リテール、不動産投資の4カテゴリーの各市況を解説した。

2年で「丸の内・大手町」のオフィス面積7割に匹敵する50万坪が供給

 レポートによると、「オフィス市場」で東京は、2018年に全てのグレードのオフィスで空き室率0.9%と、1991年の調査開始以来の最低値を更新した。大阪・名古屋などの主要都市でも、賃料の上昇ペースは当初の予想を上回るものとなった。背景には、堅調な経済環境に加えて、コワーキングオフィスなど新たな需要ドライバーの存在がある。

 東京の新規供給は、2019年に20万坪、2020年には30万坪の計50万坪が予定されている(※貸床面積をベースとした数字)。しかし、景気の減速も受けて需給は緩和し、2019年後半にも賃料は下落し始めるとしている。具体的な数字では、2018年の2万2040円/坪に対し、2020年は2万1730万/坪となり、1.4%の下落が見込まれる。


東京の新規供給と空室率の推移(左)、想定成約賃料(表面賃料)の推移(右)

 一方で、地方都市の新規供給は限定的でありながら、賃料は当面上昇が続く。万博の開催が決定した大阪は、IRの誘致も追い風となり、大型ビルの供給が本格化する2022年までに、大阪オフィスビル市場は需給が逼迫した状況が続く。

 名古屋は、リニア新駅開発に伴い、ビルからの立ちのきを迫られるテナントが出始め、貸主側にとって有利な状況にある。2019年に竣工する2棟のビルはともに高稼働が見込まれ、2020年に完成するビルも同様に引き合いは多い。


大阪の新規供給と空室率の推移(左)、想定成約賃料(表面賃料)の推移(右)

名古屋の新規供給と空室率の推移(左)、想定成約賃料(表面賃料)の推移(右)

東京・名古屋・大阪の空室率と想定成約賃料(円/坪)の推移

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