なぜドアメーカーが受注依存型のビジネスモデルから脱し、売上100億円を達成できたか?:“ハイドア”の先駆者に聞く「シュリンクする住宅市場で生き残るには」(3/4 ページ)
ここ数年、建具の市場で人気の高い、天井までの高さがある“ハイドア”。アイカ工業、パナソニック、LIXILといったメーカーも、次々と高さのあるドアを開発し、ハイドアのマーケットは拡大を続けている。戦前から神奈川県横浜市に本社を置く、神谷コーポレーショングループは大手メーカーに先立つこと、2005年に主力製品となるオリジナルブランド「フルハイトドア」を立ち上げ、業績を10年で約7倍にするなど、この分野の第一人者ともいえる確固たる地位を築いている。次の戦略では、ARサービスやIoTドアなど、これまでにないハイドアの提案も視野に入れる。
定価の3分の1でドアを付け替えできるアップグレードサービス
――フルハイトドアで大切にしているデザイン性
神谷社長 日本のインテリアでは壁の原点は“茶室”。扉は戸襖(とぶすま)と同じ感覚で導入され、枠はいうなれば壁にドアをつけるためのアタッチメントと捉えられていたように思う。だが、西洋のドアの枠は装飾がされており、額縁の意味合いを持つ。襖や障子には、取り替えるのが容易な可変性という利点があるが、ドアはどうしても枠に縛られてしまう。
その点、フルハイトドアは、扉の三方枠を取り外し、枠が完全に見えない納まりで、金具も目立たないオリジナルの「フルハイトヒンジ」にして、ドアと壁と一体化させている。
フルハイトヒンジは、丁番に変わるアイテムで、ピンを引くだけでドアの取り外しができる。脱着のし易さもあって、フルハイトドアには、半永久保証の「アップグレードサービス」を用意している。例えば、経年劣化による色褪(いろあ)せや傷がついた時など、会員登録ユーザーであれば、定価6万6000円であっても、3分の1以下の1万8000円ほどで格安にドアを入れ替えることができる。
デザインに対する取り組みでは、社員研修の一環で、毎年海外の展示会を視察し、グローバルのデザイントレンドをリサーチしている。
とくに今年(2109年)は、ミラノで開催された世界最大級の建築・建材のイベント「MADE expo 2019」(会期:2019年3月13〜16日)に、日本のドアメーカーとして初出展。インテリアドアの本場での披露に合わせて開発した黄金比率の日本一美しい格子ドア「ゼンスタイル 格子」をはじめ、センサーに手をかざすだけでスムーズに開閉する自動ドアには見えない一般家庭用の「オートマチックドア」などを展示した。なかでも、浮世絵をあしらった「襖絵」をスライドドアにアレンジした「エフエス 浮世絵壁紙」はひと際人気を集めた。
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