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インタビュー

なぜドアメーカーが受注依存型のビジネスモデルから脱し、売上100億円を達成できたか?“ハイドア”の先駆者に聞く「シュリンクする住宅市場で生き残るには」(2/4 ページ)

ここ数年、建具の市場で人気の高い、天井までの高さがある“ハイドア”。アイカ工業、パナソニック、LIXILといったメーカーも、次々と高さのあるドアを開発し、ハイドアのマーケットは拡大を続けている。戦前から神奈川県横浜市に本社を置く、神谷コーポレーショングループは大手メーカーに先立つこと、2005年に主力製品となるオリジナルブランド「フルハイトドア」を立ち上げ、業績を10年で約7倍にするなど、この分野の第一人者ともいえる確固たる地位を築いている。次の戦略では、ARサービスやIoTドアなど、これまでにないハイドアの提案も視野に入れる。

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天井までの高さにこだわるワケ

 行き着いた先が、天井までの高さで、枠の無いドア。一般的に100平方メートルクラスの一般住宅は天井高さが2400ミリだが、もともとOEMで受注していたときは、マンションの2200ミリよりも低いドアがハウスメーカーから発注されてくるのが腑に落ちなかったことがある。

 そこで、2004年に自社ブランド商品として、天井近くまで高さがある「ハイドア」をプレ版としてリリース。ヒアリングを重ね、天井まで高さがある室内ドアの需要は多いと確信を得て、2005年に最大高さ2700ミリの「フルハイトドア」が誕生した。


天井まで高さのあるフルハイトドア

 天井まで高さがあると、部屋を狭く感じる要因の一つだった天井とドアの間に存在する“下がり壁”が無くなり、狭小の多い国内の部屋でも明るく感じられ、開放感が生まれる。また、枠を見えなくすることで、ドアは完全に壁面化する。

 これまでの住宅室内ドアは、部屋を間仕切る道具としての機能性にとどまり、イノベーションが起きていなかった。フルハイトドアの登場により、空間を変えるポテンシャルを持ったものとして、屋内ドアは選ばれるインテリアへと進化する転換点となった。

――商品開発の体制

神谷社長 新ブランドの立ち上げとともに、住宅メーカーとの共同開発も辞め、社内に設置された環境試験室をベースに、高さ2400ミリのドア品質を向上させる研究に着手した。社内には、商品開発部を常設せずに、プロジェクト単位で開発にあたっている。商品開発の指針を製造部門が管理を担う常識に捕らわれず、顧客の声に最大限応えるとの思いで、決定権を営業に委ねている。プロジェクトチームには、外部のデザイナーなども参加を呼びかけ、開かれた“オープンイノベーション”にも取り組んでいる。

 直近の改良では、2019年8月にドアの厚さを40ミリへと規格変更した。原価が高騰している近年、通常であれば原材料費を抑えるために、厚みを薄くしていくのが国内市場の流れで、現在、国内市場にでている屋内ドアの厚みは30〜36ミリが主流。

 しかし、重厚感や高級感を体験してもらうため、定価を据え置いたまま、40ミリとした。コストではなく、顧客視点での商品規格変更は、ユーザー視点を持ったプロダクト姿勢の表れだ。


厚さを40ミリに増したことで高級感を与えるフルハイトドア

 品質面では、それまで木製の扉は反るのが当たり前とされていたが、反りの抑止力を高めることで改善。当社が発売して以降、他のドアメーカーも背の高いハイドアを発売しているが、やはり温度や湿度によって発生する反りが問題となっており、一般的には防湿シートを貼って対策しているところが多い。フルハイトドアは、両サイドの縦方向にスチールパイプを入れ、中と外の空気を循環させる構造を採用することで解決し、この技術は特許取得済み。

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