王子HD、清水建設と紙素材を活用した「KAMIWAZA」を共同開発:新建材
王子ホールディングスは、土木現場の仮設資材に紙素材を活用したソリューション「KAMIWAZA」を清水建設と共同開発したと発表した。作業員の負担を軽減し、仮設施工の生産性の向上などが期待できる。
王子ホールディングスは2019年8月28日、SDGs(持続可能な開発目標)の実現のため、紙素材を活用した仮設施工の生産性向上技術である「KAMIWAZA」を清水建設と共同開発したと発表した。KAMIWAZAとは、土木現場の仮設資材に紙素材を活用したソリューションだ。鋼材や木材の代替として、取り扱いが容易な紙素材を使用することで、作業員の負担が軽減し仮設施工の生産性が向上するという。
KAMIWAZAの主な紙素材には、「HiPLE-ACE」(衝撃吸収性能と強度に優れ、重量物包装資材として利用されている3層構造の段ボール材)や「ハトシート」(吸収した液体の拡散性、保持力、揮発性をコントロールしやすい木材パルプを主原料とした不織布)を採用した。段ボールはリサイクル可能であるため、コストも従来工法の約半分に縮減できる。
HiPLE-ACEの活用事例としてトンネル風門とガードマンボックスがある。これまで山岳トンネルの坑内に仮設するトンネル風門は、鋼材などの部材をクレーン車で吊り上げながらトンネル断面をふさぐ壁を構築するためにナイロン製の専用バルーン(使い捨て)を使用していた。長崎県内の道路トンネル現場でHiPLE-ACEを活用したところ、約100平方メートルのトンネル風門を高所作業車のみで構築できたという。
また、工事現場において、ガードマンの待機場所であるボックスはスペースの関係で全ての出入口に設置できなかったが、HiPLE-ACEを活用したボックスは、女性や高齢者でも運搬できるように軽量かつコンパクトな作りとなっており持ち運びや組み立てが容易だ。簡易的な防風対策としても活用できる。
さらに、岩手県内のダム工事でハトシートの実施検証を行ったところ、ハトシートを活用したアースカラークールシートでは、環境調和色による猛禽類の保全対策だけでなく、袋内に取り付けたハトシートに水を含ませることで、骨材貯蔵設備の温度上昇を防止できたという。
王子ホールディングスと清水建設は、引き続き、紙素材を活用した新たなソリューションを進めていくとのことだ。
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