1都8県のICT土工・舗装工・浚渫工の2018年度実績、茨城県がトップの理由とは?:第2回i-Construction施工セミナー(2/2 ページ)
国土交通省は、ICT活用工種の拡充や関連基準の整備を進めるとともに、ICT土工の現状を積極的に業界関係者へ発信している。
茨城県は鬼怒川の破堤修繕工事の影響でICT土工適用済み件数伸長
セミナー中盤には、1都8県(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県)のICT土工・舗装工・浚渫工の2017・2018年度実績について披露した。2017年度のICT土工適用済み数は95件、2018年度は103件と微増となった。
都県別のICT土工の2018年度実績について、加藤氏は、「茨城県のICT土工適用済み件数が49件と他県と比較して突出しているのは、2017年9月10日に発生した関東・東北豪雨に伴う鬼怒川の堤防決壊の影響。修繕工事でICT土工が活用され、適用件数を押し上げた。次点となる埼玉県は、利根川や江戸川の築堤工事でICT土工が導入されたことが、適用件数を増加させた」と述べた。
セミナー後半には、2019年度よりICT活用工種に適用された法面工、付帯構造物設置工について解説した。
ICT法面工(吹付工)の工程は、最初に、ドローンや地上レーザースキャナーで3次元測量を行う。次に、この結果から吹付面の照査に基づく変更数量を算出する。続いて、施工、出来高、出来形管理を進める。出来高数量確認は点群の他、TS(トータルステーション)などを用いたノンプリズム断面方式での計測も可能。その後、TSを使用した出来形管理で検査の効率化を図る。最後に、測量などで取得した情報を維持管理の初期値として活用する。
ICT付帯構造物設置工の作業手順は、まず、ICT土工と同様に短時間で施工箇所の3次元測量を行う。その測量結果とそれぞれの設計図を重畳し、土工と合わせた設計・施工を計画する。その計画に基づき施工を終えた後、土工と付帯構造物それぞれに利用できる3Dデータで出来高と出来形を管理。測量で取得した3Dデータを使用し点検業務を円滑にするとともに、維持管理でも使い、構造物の設置位置の把握に役立てる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 2019年はi-Construction「貫徹」の年、地盤改良工などICT施工の工種拡大など4つの施策
国土交通省は、人手不足や高齢化が進行する建設業の生産性向上を図るために、i-Constructionの活用を推進している。2018年の「深化」から発展させ、2019年は「貫徹」の年と位置付け、新たな4つの取り組みを軸に展開していく。 - 50分間のフライトを実現したi-Construction対応の折り畳み式ドローン
石川エナジーリサーチは「第5回国際ドローン展」で、i-Constructionに対応し、長時間飛行が可能な新型ドローン「Build-Flyer(ビルドフライヤー)」を展示した。 - i-Constructionを後押し、実撮影に基づいた「3D都市モデルデータ」
都市計画に欠かせない事前検証、これまでは模型や図面を元に行われてきたが、ICT(情報通信技術)の活用が不可欠な時代が迫っている。 - 深層学習と赤色立体地図を使用したシステムで、LPデータの地形判読を伴うフィルタリング作業を自動化
国土交通省関東地方整備局は、i-Construction推進の一環として、管轄する事務所の現場が抱える課題を解決する最新のソリューションの導入を押し進めている。