IoTセンサーで集計したデータを熱中症対策に活用、三井不動産など:スマートシティ
三井不動産は、同社が幹事企業を務める「柏の葉IoTビジネス共創ラボ」の新たなプロジェクトとして、柏の葉エリアの約4平方キロメートルの範囲に気温・湿度を観測するIoTセンサーを設置し、集計データを熱中症対策や住民の見守りサービスに活用する。
三井不動産が幹事企業を務める「柏の葉IoTビジネス共創ラボ(以下、ラボ)」は、2019年8月7日までに、柏の葉エリア(千葉県柏市)内の約4キロ平方メートルにLPWA(低消費電力・長距離通信)のLoRaWAN規格に対応したIoTセンサーを設置したことを明らかにした。センサーで集計した気温・湿度データを蓄積・分析し、熱中症対策などの住民サービスの創出を目指すという。
柏の葉エリアでは、2019年より三井不動産や柏市などが中心となって「柏の葉スマートシティコンソーシアム」を組成し、民間データ・公共データが連携したデータプラットフォームを構築している。AI/IoTなどの新技術の導入により、データ駆動型の「駅中心のスマート・コンパクトシティ」の形成を目指していることが評価され、国土交通省のスマートシティモデル事業にも選定されている。
IoTセンサーはエリア内に約500m間隔で24カ所、学校や商業施設などの重点施設に4カ所、合計28カ所に設置した。集計する気温・湿度データは、街の緑化や噴水・水景施の検討、子どもの屋外活動や登下校時における水分補給のアナウンスなどに活用する。
プロジェクトの推進にあたってはラボのメンバーが専門性を生かして業務を分担。IoTセンサーの通信環境配備をセンスウェイが、IoTセンサーの設置およびデータの計測・分析を三井共同建設コンサルタントが、IoTセンサーの設置場所の提供を三井不動産および柏市が受け持った。プロジェクト全体の調整は、東京大学などが共同運営し、公民学連携による街づくりを推進する柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)が行っている。
「環境共生」「健康長寿」「新産業創造」の3つのテーマを掲げて、公民学連携によるスマートシティ構想を推進してきた柏の葉エリアでは、IoT技術の活用、IoTビジネスの機会創出を目指してさまざまな実証実験などに取り組んできた。本プロジェクトが目指すIoTを活用した熱中症対策もその一環だ。
三井不動産は本プロジェクトの今後について、集計した気温や湿度のデータを柏の葉スマートシティコンソーシアムに提供し、柏の葉エリアにおける「パブリックスペース」や「ウェルネス」に関する取り組みの基礎データとして活用したいとしている。
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